北陸新幹線の金沢・敦賀間延伸を2024年3月に控え、福井県福井市の福井駅西口で、地上11階建ての複合ビル「ハピリン」の建設が本格化している。同ビルは、商業施設やホテル、オフィスが入居する予定で、延伸による観光客増加を見込んだ開発の一環だ。
新幹線開業で福井駅の活性化狙う
「ハピリン」は、福井駅前の再開発事業の中心施設で、延べ床面積約2万平方メートル。1階から3階には飲食店や物販店が並び、4階から6階にはビジネスホテル、7階から11階はオフィスフロアとなる。事業主体の福井市まちづくり公社によると、総事業費は約120億円。2024年3月の新幹線開業に合わせ、同年春の開業を目指す。
福井駅周辺では、他にも複数の再開発計画が進行中だ。駅前の商業ビル「アオッサ」は2023年秋にリニューアルオープンし、新たな飲食ゾーンを設置。また、駅北側では市有地を活用したホテル建設も計画されている。福井市の担当者は「新幹線開業を機に、駅周辺のにぎわい創出と回遊性向上を図りたい」と話す。
観光客増加見込み、宿泊施設不足解消へ
北陸新幹線の敦賀延伸により、東京から福井までの所要時間は約3時間半から約2時間半に短縮される。福井県は年間約100万人の新規観光客が見込まれると試算。しかし、福井市内の宿泊施設は約4,000室と、隣県の金沢市(約1万室)に比べて少なく、不足が懸念されている。
「ハピリン」のホテルは約150室を提供し、需要拡大に対応する。福井市まちづくり公社の幹部は「新幹線開業でビジネス客や観光客の増加が確実。宿泊施設の充実は不可欠だ」と述べた。また、県外からの誘客を狙い、県は観光キャンペーンや周遊ルートの整備を進めている。
経済波及効果に期待、地元企業も参入
福井県は延伸による経済波及効果を約1,200億円と試算。特に建設業やサービス業への影響が大きいとみられる。地元企業からは「ハピリン」のテナントとして、福井の伝統工芸品を扱う店舗や地酒バーなどが出店を予定している。福井商工会議所の担当者は「新幹線効果を地元経済につなげるため、地域一体の取り組みが重要だ」と強調した。
一方で、周辺の中小商店からは、駅前再開発による集客効果への期待とともに、既存商店街との連携を求める声も上がっている。福井市は、駅前と中心市街地を結ぶシャトルバスの運行や、イベントの共同開催など、回遊性を高める施策を検討中だ。
延伸目前、準備着々と進む
北陸新幹線の延伸区間は金沢駅から敦賀駅までの約125キロ。新たに小松駅、加賀温泉駅、芦原温泉駅、福井駅、越前たけふ駅、敦賀駅の6駅が開業する。JR西日本は2023年夏にダイヤを公表する予定で、福井県内の各駅では駅前整備やアクセス道路の工事が急ピッチで進んでいる。
福井駅では、在来線と新幹線の乗り換え動線の確保や、バリアフリー化も進められている。県は2024年3月の開業後、初年度に約300万人の利用者を見込む。観光客の増加に伴い、駅周辺の飲食店や土産物店の需要も高まると予想され、地元経済の活性化が期待されている。



