「ウサギの島」でイノシシがウサギ襲う、過剰な餌やりが生態系に異変
「ウサギの島」でイノシシがウサギ襲う、餌やりが生態系に異変

「ウサギの島」として知られる広島県竹原市の大久野島で、観光客によるウサギへの過剰な餌やりが島の生態系に異変をもたらしている。ウサギが残した餌を島内の野生イノシシが食べて数を増やしているとみられ、ウサギを襲っているケースを福島大などのチームが確認した。国などは、適切な餌やりルールの徹底を呼びかけている。

イノシシがウサギを襲う姿を確認

大久野島は、瀬戸内海国立公園内にある周囲約4キロの無人島。1970年代に島外から持ち込まれた外来種のアナウサギが野生化したとされ、500匹以上が生息する。人気観光スポットとして、国内外から年間約20万人が訪れている。

環境省によると、島内にイノシシは元々いなかったが、約15年前に姿を現し、島での繁殖も確認。海を泳いで島に渡り、観光客がウサギの餌用に持ち込んだ野菜などの食べ残しを得て増加したとみられる。同省が箱わなを使ってイノシシの駆除を行っているが、正確な数は把握できていない。

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そんな中、イノシシがウサギを襲う様子を福島大や呉高専などの調査チームが確認した。同大の兼子伸吾教授(保全生態学)によると、2024年3月、フェリー乗り場近くでイノシシが雄のウサギを襲い、口にくわえたまま森の中に入っていった。2017年にもウサギを捕食するイノシシを観光客が目撃していた。

調査の結果、イノシシに捕食されたとみられるウサギの死体も見つかった。自然死したウサギの死体をイノシシが食べることは知られているが、海外での事例も含め、生きたウサギを襲って捕食するケースはこれまで報告がないという。

専門家は「生態系に思わぬ影響」と指摘

兼子教授は「餌やりが結果的にイノシシの定着を促し、今まで観察されていない行動につながったのだろう。生態系に思わぬ影響を与えている可能性を考慮すべきだ」と指摘する。

環境省や観光協会などでつくる「大久野島未来づくり実行委員会」はすでに、観光客向けの餌やりルールを作成。ウサギが餌を食べ終わるまで見守り、残った餌は持ち帰るよう求めている。同省中国四国環境局広島事務所の担当者は「ルールを守ってウサギと接してほしい」と話した。

大久野島のウサギに詳しい沖縄大の山田文雄客員教授(動物学)によると、イノシシは隣の大三島(愛媛県今治市)から泳いできたとの情報があるという。

山田さんは「増えたイノシシが人に危害を及ぼすことも起こりうる。大久野島に限らず、野生動物に餌を与えることはやめるべきで、人の餌やりが動物の数を増やし、やがて自然環境や人に影響を及ぼすことに留意してほしい」と警鐘を鳴らす。

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