「寝不足」も「寝すぎ」も臓器老化を加速、Nature研究で判明した最適睡眠時間
寝不足も寝すぎも臓器老化加速、Nature研究で判明した最適睡眠時間

ライフ「寝不足」も「寝すぎ」も臓器の老化を加速する――。世界的な科学誌『Nature』に今年5月に発表された画期的な研究「Sleep Chart(睡眠チャート)」により、睡眠時間と臓器老化の関係が明らかになった。この研究は、イギリスの約50万人分の健康データ(UKバイオバンク)を活用し、脳のMRI画像や血液中のタンパク質、エネルギー代謝物質などを分子レベルで分析。23種類もの「老化時計」を作成し、睡眠時間が脳、心臓、肺、肝臓、腎臓、免疫システムなど全身の臓器や組織の老化に与える影響を可視化した。

「生物学的老化時計」とは

従来の睡眠研究と異なり、今回の研究では「生物学的老化ギャップ」という指標を用いている。暦年齢と生活習慣の違いによって生じる細胞や臓器の古さ(生物学的年齢)のズレを精密に測る「生物学的老化時計」により、睡眠時間が臓器老化に与える影響を定量的に評価した。研究チームは、UKバイオバンクのデータを基に、脳、心臓、肺、肝臓、腎臓、免疫システムなど23種類の老化時計を構築。睡眠時間が短すぎる場合も長すぎる場合も、臓器の生物学的年齢が暦年齢よりも進んでいることが確認された。

「短すぎる」「長すぎる」はリスク

研究結果によると、最適な睡眠時間は7~8時間であり、これを下回る5時間以下の睡眠や、9時間以上の睡眠は、臓器の老化を有意に加速させる。特に、5時間睡眠の人は7時間睡眠の人に比べて、肝臓や腎臓の生物学的年齢が平均で2~3歳進んでいた。また、9時間以上の睡眠は脳の老化と関連し、認知機能の低下リスクが高まることが示された。立川パークスクリニック院長の久住英二氏は、「睡眠時間が短すぎるのも長すぎるのも、臓器に負担をかけ、老化を早める」と指摘する。

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疾患リスクが高い「休日の寝だめ」

平日は5時間睡眠で乗り切り、休日に昼過ぎまで寝る「休日の寝だめ」は、睡眠不足を解消するどころか、かえって健康リスクを高める。研究では、睡眠時間の不規則性が大きい人ほど、心臓血管疾患や代謝疾患のリスクが上昇することが判明。週末に寝だめをしても、平日の睡眠負債を完全に解消できず、体内時計の乱れを引き起こす。久住氏は「休日に長時間寝ても、臓器の老化を遅らせる効果は限定的で、むしろリズムの乱れが老化を促進する」と警告する。

今日から実践すべき睡眠戦略

平日の睡眠不足を健康的に解消するには、以下の戦略が有効だ。まず、毎日同じ時間に就寝・起床することを心がけ、睡眠時間のばらつきを減らす。次に、就寝前1時間はスマートフォンやパソコンの画面を見ないようにし、ブルーライトの影響を避ける。また、寝室の温度は18~20度、湿度は50~60%に保つ。さらに、カフェインの摂取は午後2時までに制限し、アルコールは寝る3時間前までに済ませる。これらの習慣を守ることで、睡眠の質を高め、臓器の老化を抑制できる。

睡眠で脳と体のメンテナンスを

睡眠中には、脳の老廃物を除去するグリンパティックシステムが活性化し、細胞の修復や免疫機能の強化が行われる。適切な睡眠時間を確保することで、臓器の老化を緩やかにし、健康的な寿命を延ばすことが期待できる。久住氏は「睡眠は単なる休息ではなく、脳と体のメンテナンスの時間。7~8時間の睡眠を習慣化することが、臓器の若さを保つ鍵」と強調する。

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