京都大学などは、医学実験の目的で20年以上前にC型肝炎ウイルスに感染させられたチンパンジーにヒト用の治療薬を使い、ウイルスを完全に排除できたと発表した。一方、肝臓がんが進行して投薬後に命を落とした個体もいた。実験時には想定されていなかった負の側面も明らかになったという。
治療の対象となったチンパンジー
今回、治療を受けたのは、25~43年前に製薬会社などでC型肝炎の研究のためウイルスを接種され、感染が続いた状態になっていた8頭。現在は京都大学の付属施設、熊本サンクチュアリ(熊本県)で暮らしている。
8頭がヒト用に開発された治療薬を飲んだところ、6頭でウイルスを完全に排除することに成功した。過去に実験モデルだった動物に、医学実験としてではなく、純粋な治療目的で投薬して治療に成功したのは世界で初めてだという。
がんの進行も明らかに
一方で、2頭では完全な除去ができなかった。ウイルスに薬剤耐性の変異が生じていたためとみられる。さらに、排除に成功した6頭のうち3頭では肝臓がんができていることがわかり、後に2頭が死に至った。
論文は国際学術誌「Journal of Medical Virology」に掲載された。今回の治療で、国内でC型肝炎ウイルス治療を受けていないチンパンジーはいなくなった。
京都大学の平田聡教授は、欧米にも同様の境遇のチンパンジーがいるだろうとして「論文をきっかけに、治療の機会が与えられてほしい」と願った。



