ヒット曲の前奏が半減、50年で9.6秒に 奈良大生が500曲分析で音楽消費の変化を指摘
ヒット曲の前奏が半減、50年で9.6秒に 奈良大生が分析

ヒット曲の前奏が50年で半減、平均9.6秒に 奈良大生が500曲分析で音楽消費の変化を解明

近年の日本のヒット曲は、前奏やサビが短く前倒しされる傾向が顕著になっている。奈良大学社会学部4年の早坂結音さん(22)が、過去50年間のヒット曲500曲を詳細に分析した卒業論文をまとめ、この現象が音楽消費環境の変化と密接に関連していると考察した。

前奏の平均が18秒から9.6秒に短縮、サビも前倒しに

早坂さんは、SNS上で「最近の曲は前奏が短くなっている」というコメントに興味を持ち、研究を開始。1975年から2024年までの50年間に、ビルボードジャパンやオリコンランキングで10位以内に入ったヒット曲計500曲を聴き、楽曲の長さ、前奏の長さ、サビ開始までの時間を分析した。

その結果、楽曲の長さは1990年代後半の平均293.7秒をピークに、2010年代から短縮傾向が進み、2020年代前半では平均242.2秒と約20%減少した。前奏は長い間平均18秒台で安定していたが、2010年代後半に平均15.4秒に、2020年代前半では平均9.6秒にまで短縮された。サビの始まるタイミングも、平均60秒近くから2020年代には平均49.3秒に前倒しされていた。

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最も長い曲は431秒、最も短い曲は44秒

分析対象の500曲の中で、最も長い曲はMr.Childrenの「しるし」と湘南乃風の「純恋歌」(いずれも2006年)で、431秒だった。一方、最も短い曲はピコ太郎の「PPAP」(2016年)で、44秒に留まった。早坂さんは、1970年代の曲が比較的短い理由について、「ラジオ番組で曲をかける際に便利だったのでは」と推察している。

音楽消費の変化が楽曲構造に影響

早坂さんは、この変化の背景として、CDアルバムなどをじっくり聴く鑑賞スタイルから、音楽配信やストリーミングサービスによる断片的な音楽消費への移行を指摘。「比較的短時間で楽曲の特徴が伝わる構造が選択されやすくなった」と分析する。現代社会では、限られた時間の中で多様な情報や娯楽に触れる環境が整い、コンテンツに対して即時的な理解や印象が求められる傾向が強まっているという。

昨年10月に約1週間かけて500曲を聴き終えた早坂さんは、「聴き終わったときは達成感があった」と振り返る。また、昔の曲をサビまで聴いて知っている曲に出会う楽しさも経験したという。

指導教授も高評価、今後の展望に期待

指導した尾上正人教授(社会学)は、早坂さんの研究について「調べたいことをとことん追求し、独自性があり、論証もしっかりしている」と高く評価。早坂さんは、「音楽の聴取環境が変わらない限り、これからも前奏が短い曲が増えると思う。そういう面に注目しながら音楽を聴いてみたい」と笑顔で語った。

この研究は、音楽産業の変遷と現代社会の消費行動を結びつける貴重な洞察を提供しており、今後の音楽制作やマーケティングにも影響を与える可能性が示唆されている。

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