福岡の老舗駅弁業者「東筑軒」が、ロードサイド1号店で販売を始めた290円の「できたてかしわめし」が、連日大行列を生んでいる。通常の駅弁「かしわめし」が970円であるのに対し、同店では手軽に楽しめるよう約3分の1の価格に設定。105年の歴史を持つ同社が初めて挑む、できたてのソウルフードは、別格の味わいだと評判だ。
ふっくらご飯と香ばしい海苔のハーモニー
箸を入れると、ご飯がふっくらとほぐれ、海苔の香ばしい香りが立ち上る。かしわとご飯をのせて口へ運ぶと、温かさゆえに炊き込みご飯のほのかな甘みが一層はっきりと感じられる。卵は空気を含んだようにふんわり軽く、パリッとした海苔とのコントラストが口の中をにぎやかにする。
器は福岡で350年の歴史を持つ小石原焼で、ずっしりと重く、ご飯の温かさを手に伝える。この器も一杯290円のかしわめしを特別なものにしている。
秘伝の味とこだわりの食材
東筑軒の広報・浅田さんによると、調理スタッフは「うまく炊けたときは、食べ終わったあとに卵かけご飯のような後味が残る」と語る。ツヤっとしたご飯は一口食べるとすぐに次の一口が恋しくなる。
かしわめしは九州の郷土料理で、福岡では家庭やコンビニ、弁当でもよく登場する定番メニューだが、東筑軒のかしわめしは一味違う。特徴的なのはかしわだ。そぼろ状のひき肉ではなく、包丁で刻まれた肉は噛むほどに旨みが広がり、時々ごろっとした塊に当たるとラッキーな気分になる。そして、「鶏肉よりもご飯がうまい」と言われる炊き込みご飯の味付けは、1921年から代々受け継がれてきた秘伝だという。
門外不出の調理室とこだわりの復活
浅田さんは「本社工場の2階には、『㊙門外不出』と貼り紙のされた部屋がある。社長もまだ入れてもらえていないそうです」と明かす。秘伝の味付けを仕込む部屋に入れるのは限られた人だけだ。
米の価格高騰を受けて一時期はかしわめしのご飯に大麦を1割ほど混ぜていたが、現在は元のご飯に戻した。「変わらない味」を大切にするためだ。
薬味12種類で自分好みの味に
店内には12種類の薬味が用意され、自分だけのマイ薬味を作ることができる。また、かしわめしとうどんのセットを注文する人も多く、うどんの味も好評だ。



