ミュージカル界の第一線で活躍する新妻聖子さんが、日本初演となるミュージカル「101ダルメシアンズ」で、強烈な悪女クルエラ・ド・ヴィル役に挑んでいる。英国の児童文学を原作に、パペットを駆使した革新的な演出が魅力の作品で、新妻さんの歌唱力とクルエラ役が融合した舞台が話題を呼んでいる。
クルエラのキャラクターと新妻さんの解釈
クルエラは、ダルメシアンの子犬の毛皮でコートを作ろうと企むが、買い取りを断られたため、甥たちに盗み出させるという役どころだ。新妻さんは、クルエラについて「自分の欲しいものに猪突猛進する、歯に衣着せぬ物言いの、慇懃無礼な女性」と語る。しかし、単なる悪役にするのではなく、「血の通った人間であり、彼女の良い所も取り入れつつ、一本筋が通ったキャラクター」を作り上げたという。
新妻さんはクルエラを「アーティスト」と表現し、「アートという大義名分で、何をやっても許されると思っている」という犬たちからの視点を説明。クルエラ自身は自分を「悪」とは思っておらず、美の追求こそ社会貢献だと考えているという。「私の美的感覚が失われることは、世の中にとって損失だ」と思っているようで、そのブレない姿勢を舞台上で表現したいと語った。
音楽とパペットの魅力
劇中でクルエラが歌う「アニマルラバー」は、「私は動物好き」という歌詞から「欲しいのよ、ダルメシアン!」と締めるジャジーなナンバーだ。新妻さんは、曲のジャンルが各シーンのテーマに沿って変わり、ゴージャスなものからコミカルなものまで、ミュージカルの良さが詰まっていると話す。
また、動物たちを演じる俳優が自らパペットを操る演出にも注目が集まる。英米で多くの賞を受賞した「War Horse」でアソシエイトパペットディレクターを務めたジミー・グライムスさんが来日し、パペット監修を担当。新妻さんは、命が吹き込まれたパペットのエネルギーに負けないよう、クルエラとして舞台に立ちたいと意気込む。
年齢を重ねて掴んだ役とダブルキャスト
新妻さんは、この数年は子育てで人生で一番怒ったりどなったりしており、その経験を役に応用できると語る。10年前では早すぎたかもしれないが、45歳の今、音域が広がり低音も出るようになったことでクルエラ役がピッタリきたという。「歌手は40代が一番良い声が出る」とし、40代は円熟期だと話す一方、ミュージカル女優が活躍できる作品が少ない現状にも触れた。
クルエラ役をダブルキャストで演じる蘭寿とむさんとは初共演。新妻さんは「知性あふれるとても魅力的な女性で、決めポーズのかっこよさや芝居のアプローチなど、見ていてとても勉強になります」と語り、持ち味が異なるため自分のやるべきことに集中できているという。どちらのクルエラも楽しんでほしいとしている。
公演は東京・日生劇場で2026年10月13日から29日まで、大阪・梅田芸術劇場メインホールで11月7日から15日まで上演される。