ミセス大森元貴「全盛期は常に今日」 『POPS』後の新境地「形容できない何か」へ
ミセス大森元貴「全盛期は常に今日」 形容できない何かへ

Mrs. GREEN APPLE(以下ミセス)のボーカル・ギターの大森元貴(30)が、複雑で完成度の高いアルバム「POPS」の創作を支えるもの、今後のミセスの姿について語った。インタビュー後編では、自身との闘い、バンドの関係性、そして未来への展望が明かされた。

3人のトライアングル関係

ミセスは、大森とギターの若井滉斗(30)、キーボードの藤沢涼架(33)の3人組。大森は3人の関係を「僕の混沌とした〝もやもや〟みたいなものを、若井と藤澤がトリートメントしてくれる。そういう関係で成り立っているトライアングル」と表現する。自身の内なる混沌を2人が和らげ、全曲の作詞作曲を手がける大森の両脇で思いきりはじけられる2人がいることで、一丸となって音楽を作っているという。

自身を認めない闘い

日本レコード大賞はバンド初の3連覇を達成し、「MUSIC AWARDS JAPAN」の最優秀アーティスト賞も2年連続で受賞。『POPS』は発売初週で64.6万枚を売り上げ、オリコン週間アルバムランキングで初登場1位を獲得した。国民的バンドとなった今も、新曲を書き続ける重圧について、大森は「世間より僕の、僕自身に対する目のほうが厳しい」と語る。

「僕が僕自身をどれくらい冷笑しているか、毎日どれだけ自分を疑いながらシャワーを浴びているか、誰も知らないでしょう。だから、僕が面白いと思ったものをちゃんと更新できればいい。それだけです」と続けた。その原動力については「やっぱり自信がないんでしょうね」と自己分析し、今作についても「何かをクリアしたとも、成長したとも思っていない」と述べる。

「もっとできるはずだ」という今の自分を認められないもやもやを幼い頃から抱えてきたといい、「唯一、頑張っている自分のことならほめられる。だから闘い続けるのだと思う」と語る。自身の性分をエンターテインメント化し続けていることについて「僕自身の人生が作品になっちゃっている。そういうことで自分の人生と折り合いをつけたみたいなところがあります」と創作活動を「呪い」にたとえた。

破壊と再生の先に

今作の象徴的な楽曲「ア・ポステリオリ」は、生きるほどに腐っていく「僕」や、いうほどできた人間ではない「君」を描き、主人公は最後に「腐っていく中で 僕は育っていく」とすべてを引き受ける。5拍子が混ざる複雑なリズムについて、大森は「演奏が難しいと評価された『ライラック』に対して、聴くことも難しい曲を作った。ミュージシャン泣かせの〝変態ソング〟です」と笑った。

「クリエーターは破壊と再生を繰り返す。今作には今作の発見、次作には次作の新たな発見があるべきだと思うんです」と語る一方で、とがりすぎた表現が聴き手を遠ざけるかもしれないという不安も認める。コンサート会場では4世代にわたる家族連れの姿も見られるようになり、「絶対、裏切れねえな」という強い気持ちを持ち続けている。

形容できない何かへ

海外進出については「この(デジタルの)時代にあっては、国境を越える配信も活用しているわけで、もはや作品は世界に向けてリリースしている」とし、「GOグローバルじゃなくて、BEグローバル。理想は、おすしのように世界に浸透できること」と語る。

今後のミセスについて、大森は「形容できない何かになっていくべきだと思うんです。僕たちはエンターテインメントの刺激剤でありたいし、想像もつかないことを更新し続けたい」と明確なビジョンを示す。「はやり物は廃れる」と歌う今作について、ミセスはもはや「流行」ではなくなりつつあると実感しており、「ミュージシャンとしての力量が試される段階に入ったということ」と受け止めている。

最後に人気が続くと思うかと聞かれると、「昨日聞かれても明日聞かれても、『今日まで』って答えるはずなんですよね。全盛期は常に今日、という感覚でやっています」と答えた。「POPS」という大きな言葉で自らを形容したバンドは、形容できない何かを目指して進み続けている。