阪南大学国際学部教授の大野茂氏は、かつて電通を辞めて衛星放送の企画会社に飛び込んだ異色の経歴を持つ。現在はテレビの2時間ドラマを研究対象とし、見過ごされがちなジャンルに新たな価値を見出している。
衛星放送黎明期への挑戦
ベルシステム24ホールディングス社長の梶原浩氏は、大野氏との対談で「パラボラアンテナがこれだけ並ぶと壮観です。私たちが『パーフェクTV!』、今の『スカパー!』の前身を立ち上げた30年前は、こんな設備はまだ影も形もありませんでした」と振り返る。東京・江東区のスカパー東京メディアセンターで行われた対談では、衛星放送という事業の先行きが不透明な中で生まれた企画会社に、大野氏が当時飛ぶ鳥を落とす勢いだった電通を辞めて飛び込んできた経緯が話題に上った。
独自の道を切り開く姿勢
梶原氏は「なぜ高給の会社を捨ててわざわざ」と訝しんだものだが、一緒に過ごすうちに大野氏が自分で道を切り開きたい人物であることを理解したという。大野氏はNHKを経て現在の研究職に就いており、そのキャリアパスにも彼の性格が如実に現れている。
2時間ドラマ研究の意義
大野氏が研究対象に選んだのは、テレビの特番で制作される2時間ドラマだ。「映画や連続ドラマを論じる研究者は数多くいても、2時間ドラマを真面目に扱う大学教員はほとんどいない」と大野氏は語る。「安っぽい」「パターンが同じ」と侮られてきたこのジャンルこそ、制作当時の社会や視聴者の姿が映し出されているという問題意識から研究を重ね、書籍にまとめている。
新たな価値の発見
梶原氏は「ほかの人が見過ごしているところに、新たな価値を見出していく。大企業を離れて衛星放送の企画会社に飛び込んだ頃から、大野さんは独自の眼差しを世の中に向けているのです」と評する。大野氏の研究は、一般に軽視されがちな2時間ドラマを学術的に掘り下げ、その文化的・社会的意義を明らかにしようとする試みだ。



