過去や未来の自分から現在を眺める心理術:心が軽くなるタイムトラベル法
過去や未来の自分から現在を眺める心理術

心理学者でミシガン大学教授のイーサン・クロス氏は、感情の混乱に対処する方法として「心の中でのタイムトラベル」を提案している。これは、過去や未来の自分を想像し、その視点から現在の自分を眺めることで、心を軽くするテクニックだ。しかし、クロス氏は「いまこの瞬間に生きよ」というマインドフルネスの教えが常に正しいとは限らないと指摘する。

「いま」に生きることの落とし穴

クロス氏によれば、あらゆる感情の混乱に対する解毒剤として「いま」を処方することは、二つの重要な真実を見失わせるという。第一に、常に「いまこの瞬間」に生きようと努力する人は、それが不可能であるがゆえに挫折する。人間の精神はタイムトラベルができるように進化してきた。例えば、ゴキブリやクモなど、複数の脚と大きな触角を持つ這い回る生物は、一つの「いまここ」の経験から次の「いまここ」へと移行しながら生涯を過ごす。しかし、人間は心の中でタイムトラベルする能力を持つ。この能力こそ、人間を他の種と分かつものであり、過去の経験を理解し、未来を計画し、革新し、創造するためのきわめて重要なツールである。

効果的なタイムトラベルの方法

第二の真実は、われわれはもっと効果的にタイムトラベルする方法を学べるということだ。「いまこの瞬間に生きろ」と戒められる理由の一つは、ネガティブな過去や未来に囚われ続けることが不健全だからだ。しかし、過去や未来と向き合えなければ、過去の知識に基づく適切な決断や、将来の計画を立てることはできない。クロス氏は、危機的な状況に陥ったときこそ、タイムトラベルの能力に頼ることを勧める。それはアキレス腱であると同時に、ある種のスーパーパワーにもなり得るという。

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過去の自分から現在を眺める実践法

具体的な方法として、クロス氏は過去へさかのぼることを提案する。あなたの人生で今回と似たような経験をしたのはいつか、そのときはどう乗り越えたのか、過去の経験から得たもので今も利用できるものは何かを考えてみる。もっとひどい経験をしてきたなら、今回も乗り越えられるはずだ。目下の状況よりもつらい経験がなくても、過去の経験が何らかの形で準備をさせているはずだとクロス氏は述べている。

他人の経験と比較する視点

さらに、他人の経験と比較することで、自分の状況を相対化することも有効だ。自分だけが苦しんでいるわけではないと気づくことで、心が軽くなる。クロス氏の研究によれば、このような「心のタイムトラベル」は、感情調整に役立つことが示されている。ただし、過去や未来に過度に囚われるのは逆効果であり、バランスが重要だ。

クロス氏は、タイムトラベル能力を活用することで、現在の自分を客観視し、感情の混乱から距離を置くことができると結論づけている。

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