愛犬が高熱の飼い主に宝物のおやつを譲る 鈴木俊貴さん涙
愛犬が高熱の飼い主に宝物のおやつを譲る 鈴木俊貴さん涙

動物言語学者で東京大学准教授の鈴木俊貴さんが、飼い主の体調を案じ、大切なおやつを譲ってくれた愛犬の優しさに涙したエピソードを明かした。

宝物は「もっちり棒」

鈴木さんの愛犬くーちゃん(4歳)は、トイプードルとマルチーズのミックス犬。真っ黒な毛につぶらな瞳、くるりと背中に収納されたしっぽがかわいい女の子だ。食に対する興味が乏しく、ドッグフードやジャーキーに見向きもしないが、唯一大好きなおやつがある。それが、もちもちとしたササミのおやつ、通称「もっちり棒」だ。

7、8センチほどの棒状のおやつで、渡すと喜んでソファなどに持っていき、寝そべりながら両手で押さえ、うれしそうにむちゃむちゃと食べるという。

執着と隠し場所

もっちり棒への執着は半端ない。以前、カバンに1本入れて散歩に出かけたところ、すれ違う犬に挨拶する際に「ガウッ」と威嚇してしまった。「このもっちり棒は、くーちゃんのものだ。絶対に渡さないぞ!」という険しい表情だったという。以後、散歩時はもっちり棒を携帯しないようにしている。

体重2200グラムと小さく、子犬のような成犬なので、もっちり棒を渡しても満腹の時もある。そんな時、くーちゃんはもっちり棒を隠しに行く。布団の中やクッションの下など、部屋中のいろいろな場所に鼻でぐいぐいと押し込んで、見えないように隠すのだ。

高熱の日の出来事

お腹が空くとそれを取り出して食べる。時には1週間以上も放置してから回収することもあるが、それだとさすがのもっちり棒もバキバキに乾燥してしまう。それでも、くーちゃんにとっては宝物。非常に硬そうではあるが、寝そべりながら両手で押さえ、うれしそうにバキバキと食べる。

そんなある日、鈴木さんが39度の高熱を出してダウン。検査をするとインフルエンザだった。犬にはうつらないと聞いていたが、散歩に連れて行けない上に、部屋の中で遊んでやる元気もなくて、申し訳ない気持ちでいた。とにかく早く回復しようとベッドに横になっていると、リビングの方からくーちゃんがスタスタスタッとやってきた。そして、枕元に何らかの物体をポトッと落とした。「なんだろう?」と思って確認すると、なんとバキバキになったもっちり棒だった。

くーちゃんを見ると、「食べていいよ」という表情をして、またリビングに戻っていった。具合が悪いのを心配して、隠していたもっちり棒を譲ってくれたのだとわかった。大切な宝物なのに、なんてやさしい子なんだろう……。鈴木さんは「高熱で朦朧とする意識の中、そのやさしさに思わず涙した」と振り返る。