『ヘンな論文』(角川文庫)などの著書で学術論文をエンターテインメントとして紹介してきた学者芸人サンキュータツオさん(50)が、イグ・ノーベル賞やユーモアをめぐる社会の変化について語った。「人文版イグ・ノーベル賞」ともいえる活動をしてきた「笑い」の専門家の言葉を紹介する。
研究の「線」で追う面白さ
イグ・ノーベル賞は1990年代にできたもので、話題としては知っていたが、自然科学系の論文が多いため、人文系の研究者である自身にとっては「どこかちょっと向こう側の話かな?」と思いながら見ていたという。
大学院生の頃、自分の研究以外の論文を読んで頭をほぐしたいときに図書館でさまざまな論文を読み、「こんなことやってる人がいるんだ」と息抜きとして面白い研究論文を探し始めた。結果的に自分の活動はイグ・ノーベル賞の人文版のようなものだと感じていたと振り返る。
ある研究者の論文1本だけでは「点」なので「何やってんだ、この人?」という見え方になるが、「この研究者はいったい何を明らかにしたくて、どういうことに挑んでるのか」という「線」で業績全体を追っていくと、「ああ、そういうことだったんだ」と腑に落ちることがあると説明する。
一歩引いて面白がる筋肉
論文は普通の人にはハードルが高いこともあり、真面目に勧めたところでなかなか読んでもらえない。芸人としての自分の紹介の仕方で面白く読んでもらえるように紹介し、最終的に学問の奥深さに気づいてもらえたらという思いで活動してきたという。
研究者は大真面目に研究対象に向き合っているが、それを引いて見たときに「これ、笑える」と指摘する人がいた方がいいだろうと述べる。ユーモアは対象との距離の取り方に関わるものであり、一般社会の倫理観やタブーに縛られないのも研究の世界の面白さだと語った。
「一般社会の倫理観やタブーに縛られないのも研究の世界の面白さ」と語るサンキュータツオさんの活動は、学術論文の面白さを広く伝える役割を担っている。



