岩手・宮古市の漁村食堂「えんやぁどっと」天然わかめラーメンが圧巻のボリューム
三陸道・宮古南インターチェンジから車で約20分。小さな漁村を抜け、山あいの道を進んだ先に、宮古市重茂水産体験交流館「えんやぁどっと」はひっそりと佇んでいる。重茂漁協が運営するこの施設内の食堂で、看板メニュー「天然わかめラーメン(醤油)」を注文すると、そのボリュームにまず驚かされる。
麺が見えないほどの天然ワカメとめかぶ
届いた丼を見て目を見張る。なんと麺が全く見えないのだ。丼一面を覆い尽くすのは、重茂産の天然ワカメとめかぶの山。煮干しと鶏ガラ、昆布で取ったあっさりしたスープからは、磯の香りがほんのりと漂い、食欲をそそる。
天然ワカメはつるりとした舌触りとコリコリとした歯ごたえが特徴。ネバネバしてトロッとしためかぶが、中細の縮れ麺にしっかり絡み、一口ごとに海の豊かさを感じさせる。卓上にある七味唐辛子を振れば「味変」も楽しめ、飽きの来ない味わいが続く。
希少な天然ワカメをふんだんに使用
「天然ワカメは県内のスーパーにはまず並ばない」と語るのは、運営責任者でワカメ漁師でもある斉藤義治さん(49)。重茂地区では養殖ワカメを年間約3000トン生産するが、天然モノはわずか約50トンに限られる。
波打ち際の岩場で絶えず波にもまれることで肉厚になり、独特の歯ごたえが生まれるという天然ワカメ。その希少な食材を、目分量でどっさりと盛るのがこの店流だ。地元の漁師だからこそできる、贅沢な提供方法と言える。
半世紀ぶりの食堂が地域の拠点に
半世紀近く食堂がなかったという重茂地区。「わざわざ来てご飯を食べる人もいないだろう」という当初の心配の声をよそに、2021年に施設はオープンした。開業から5年が経過した現在ではリピーターも増え、重茂の海の幸を発信する重要な拠点に成長している。
厨房では伊藤楓さん(30)と山本美代さん(81)の2人が腕を振るう。山本さんは「天然ワカメをこんなにいっぱい食べられるのはここだけ。重茂ならではの味を食べていって」と笑顔で語る。産地の誇りが詰まった一杯が、この半島の小さな食堂で待っている。
アクセス改善で「意外に近い」重茂半島
店がある重茂地区はかつて、宮古駅から車で1時間近くかかる場所だった。「1日に2度、市中心部に出るなんて、とても考えられない山道だった」と斉藤さんは振り返る。
東日本大震災後、県道重茂半島線が整備され、2021年に全線が開通。これにより市中心部からの所要時間は半分程度に短縮され、「意外に近い」重茂半島として注目を集めている。
ワカメ粉末入りソフトクリームも人気
食後には、ワカメ粉末入りの「天然わかめソフトクリーム」もぜひ試したい。280円(税込み)で提供されるこのソフトクリームは、クセのない味わいで人気を博している。
「天然わかめラーメン」は醤油味、塩味の2種類で各850円(税込み)。その他、ぶり定食900円(同)やうにご飯定食1200円(同)などの定食メニューも充実しており、海の幸を存分に味わえる。
所在地は宮古市重茂7地割33の5。食堂の営業時間は午前11時~午後2時。売店は午前9時~午後4時半。火曜定休。問い合わせは0193・68・2301へ。



