計画が本格化
福井市都市計画審議会は7月8日、アリーナ建設予定地となる東公園について、大型商業施設の整備が可能な区域へと変更する案を了承した。整備を進めるのは、福井商工会議所が設立した企業「福井アリーナ」だ。
基本構想案は2022年8月、県、市、福井商工会議所の3者による協議会が提示した。北陸新幹線の県内延伸を2年後に控え、県都の玄関口の活性化を目指してまとめられた。
アリーナはプロバスケットボール・福井ブローウィンズ(BWS)が本拠地とし、試合以外でもコンサートや国際会議、県民らの活動での利用を想定している。昨年8月に公表された計画案によると、2028年秋頃の完成予定で、年間の来場者は39万人、経済効果は61億円を見込む。
事業費は1年半で1.5倍に
2024年2月に公表された整備基本計画案では、総事業費を105億円としていた。その後の物価高騰などを受け、2025年8月の計画案では150億~160億円にまで増加した。
総事業費を160億円とした場合、国が30億円、県が15億円、市が15億円、経済界が100億円をそれぞれ負担・調達する。今年4月には国が交付金の一部交付を決定。経済界分では企業の寄付集めなども進んでいるが、事業費全額の確保はまだめどが立っていない。
市議会でも不安の声
中東情勢を踏まえ、事業費はさらに増えるという見方は強い。市議会6月定例会の一般質問では、事業費や市の負担の増加を不安視する声が相次いだ。
7月30日、福井商工会議所アリーナ建設推進部の林幸治部長は「事業費やスケジュールを含めた計画について、精査している」と答えた。福井市の自営業の60歳代男性は「BWSは盛り上がってきているし、アリーナはにぎわいにつながると思う」と期待しつつ、「市の負担は増えないのか。来場者数は見込みが立っている数字なのか。色々と心配だ」と話す。
北陸で続くアリーナ計画
アリーナやスタジアムの計画は石川、富山両県でも進む。びわこ成蹊スポーツ大の間野義之教授(スポーツ政策学)は「人口減、超高齢化社会の中で、『アリーナバブル』が起きている。供給過多で観客の取り合いになれば、赤字運営になりかねない」と指摘。「福井だけでなく、北陸一帯で施設がどうあるべきか位置づけるといった視点が必要だ」としている。
全国で広がる建設ラッシュ
スポーツ庁の今年1月時点でのまとめによると、全国でスタジアム36件、アリーナ40件の建設・改修計画が進められている。
男子プロバスケットボールで今秋創設される最上位カテゴリー「Bプレミア」は、5000席以上のアリーナの確保などが参入条件だ。BWSもBプレミアの参入を目指している。
「投資」と捉える見方
スポーツ庁の担当者は「体育館の老朽化による改修や建て替えのタイミングと重なり、アリーナ建設が増えているのではないか」とみる。
スポーツマーケティングに詳しい大阪体育大の藤本淳也教授は、福井県、福井市の支援について「プロスポーツを地域資産として根付かせるための『投資』という見方もできるのではないか」とした上で、「今後、チーム(BWS)が活躍し、広く周知されれば、福井のブランディングという意味では大きな役割を果たす」と一定の意義を認める。



