伝統木工「組子」を五感で体感 富山駅前に体験施設が誕生
日本の伝統木工技術「組子」を広く発信しようと、組子細工を手がける「タニハタ」(富山市上赤江町)が、2026年4月15日、富山駅前に体験施設「組子座」をオープンしました。同社の組子は昨年の大阪・関西万博で展示され、海外からの注目度も上昇中で、この施設は観光客や地元住民が五感で組子を楽しめる新たな拠点として期待されています。
組子の魅力を世界に発信 技術力と精神性が評価
組子は、くぎを使わずに木を幾何学的な模様に組み付ける技術で、木に溝や穴を彫り、カンナやノコギリ、ノミで調整する緻密な作業が特徴です。タニハタの強みは、隙間なく組み上げる高い技術力にあり、富山空港などの県内施設や、県外の高級ホテル、飲食店にも納入しています。
同社の売り上げの約2割を輸出が占めるなど、組子の技には海外からも熱い視線が集まっています。北米からの引き合いが多い一方、英国など欧州の注文も増加傾向にあり、昨年の万博ではサウジアラビア館で技術を融合した作品を展示し、職人の腕前を披露しました。谷端信夫社長(60)は、「世界の組子として浸透してきている。よい木材を使い、よい仕事をする日本人の精神性が響いている」と語り、国際的な評価の高まりを実感しています。
観光客に配慮した駅前立地 大型作品や体験プログラムを用意
インバウンド(訪日外国人客)による工場見学が増え、飛び込みの来客もあったことから、タニハタは観光客が立ち寄りやすい富山駅前に新たな拠点を設けることを決定しました。駅前のCiCビル1階に新設された「組子座」には、中央に立山連峰を表現した縦約1.5メートル、横約5.5メートルの大型作品が置かれており、構想から完成まで約1年をかけた意欲作です。
さらに、おわら風の盆や称名滝をテーマにした作品も展示され、富山県内の名所を組子で再現しています。特に注目すべきは、能登半島地震で被災した氷見市の民家から“レスキュー”したアオモリヒバや、クマ被害を防ぐために伐採した柿の木を使った作品で、谷端社長は「思い出のある木を捨てて終わりにはしたくなかった」と、素材への思い入れを強調しました。
五感で楽しむ体験施設 制作体験や職人見学も可能
「組子座」では、ミニ組子の制作体験(2000円)や、職人による制作風景の見学もでき、訪れた人々が実際に触れながら組子の魅力を体感できるよう設計されています。谷端社長は「五感を駆使して組子を楽しんで」と呼びかけ、施設のコンセプトを説明しました。
営業時間は午前10時から午後8時までで、制作体験は事前予約制となっています。問い合わせは、076-411-6118まで。この施設の開設により、伝統工芸の継承と観光振興の両面で、富山の新たな魅力が発信されることが期待されています。



