武器密造疑惑の真相を追う惣十郎、雑物蔵の証拠品に疑問符
武器密造疑惑の真相を追う惣十郎、証拠品に疑問

武器密造疑惑の核心に迫る調査が始動

雑物蔵から取り出されたという品々を崎岡から見せられた惣十郎は、首をかしげずにはいられなかった。長さ八寸ほどの細い鉄の棒が七本、五寸弱の筒が三本、そして円形の台座らしきものが七台。素人目にも、これらが武器の一部とは到底思えない代物ばかりである。

「これだけのものか」と呟く惣十郎に対し、崎岡は雑物掛の説明を伝える。帳面には紐や油の存在が記されていたが、実際には見当たらないという。高価な品や生活に役立つ物品が蔵から消えることは、しばしばあることだ。

証拠品の不審さと図面の不在

「相変わらずこすっからい野郎がいるんだね」と吐き捨てた惣十郎は、改めてお粂の店から見つかったという品々に目を落とした。そして、こう問いかける。「しかしこれでよく、武器密造だと決めつけられたな。どんな調べ方をしたのかね、河本さんは」

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「少しでも怪しければ、しょっ引くのが定法よ。なにもおかしなことはないだろう」と胸を張る崎岡。しかし、惣十郎の頭には別の疑問が浮かんでいた。お粂から武器の鋳造を頼まれたという鍛冶、源次郎の存在である。

ふと気が付いた惣十郎は、図面の所在を尋ねる。お粂が捕らえられた決め手は、これらの部品と図面だったはずだと、例繰り方で読んだ口書に書かれていたからだ。

「なかったぜ」としれっと答える崎岡。おそらく図面のことは頭から抜け落ちており、雑物掛に確かめもしなかったのだろう。

弓浜藩士の訴えと真実の探求

「俺が弓浜さんに聞き取った経緯を、前に話しただろう。図面も証拠になるんだからよ」と惣十郎が指摘すると、崎岡は逆に弓浜藩士を疑う発言をした。「お前ね、まともに調べ直すんじゃねぇよ。そもそも、その弓浜って藩士は不正出訴をしたってことだろ。ことによっちゃ、そいつをしょっ引いたほうがいいようだぜ」

餓鬼のような膨れっ面を作る崎岡に、惣十郎は内心で考える。確かに弓浜の訴えを鵜呑みにするのは良くない。接する限りでは誠実さが滲み出ているような男だが、吟味物口書とここまで話が違うとなると、弓浜の言い分についても裏を取らなければならない。

「少し完治に探らせるか」と決意を固める惣十郎。喧嘩腰に「疑うならてめぇで見てこいよ」と言う崎岡に、「言われなくてもそうするさ」と吠え返し、席を蹴った。武器密造疑惑の真相を探るため、惣十郎の独自調査が始まろうとしていた。

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