Microsoftは10月7日、WindowsとSurfaceの大型発表イベントを開催した。約70分間のイベントではAIエージェントやCopilotなどの人工知能関連技術が数多く紹介されたが、Windows 11の動作速度や安定性、不具合修正に関する説明は乏しく、OSの基本性能を改善する姿勢は見えなかった。
イベント中に「エージェント」という言葉は計100回登場し、「モデル」は71回、「Copilot」は36回、「AI」は31回、「Hybrid Intelligence」は24回使われた。これに対し、「Windows 11」は3回にとどまり、「修正」「バグ」「信頼性」「安定性」「フィードバック」は一度も登場しなかった。スタートメニューやファイルエクスプローラーにも言及がなかった。
AI中心の発表にユーザーから非難の声
今回のイベントは、3月に示された改善計画に関する進捗を確認する機会としても注目されていた。しかし実際にはAI機能の紹介が中心となり、Windowsユーザーから非難する声が上がった。
イベントには、Microsoftの最高経営責任者(CEO)のSatya Nadella氏、NVIDIAのCEOのJensen Huang氏、Windows部門責任者のPavan Davuluri氏らが参加を予告されていた。WindowsとSurfaceを中心とする大規模な発表会は、2024年5月のCopilot+ PC発表以来となる。
利用者の間ではWindowsの改善内容や新機能に加え、Windows 12に関する情報にも期待が集まっていたが、Windows 12の発表はなかった。ライブ配信のコメント欄やSNSでは、AIの説明ばかりで実用的な情報が不足しているとの指摘が相次いだ。
不満の背景にある日常的な問題
不満の背景には、Windows 11が抱える日常的な問題がある。利用者が求めているのは、起動や動作の高速化、メモリ消費の削減、更新プログラムによる不具合の抑制、操作画面の統一などだ。望んでいない検索結果やAI機能が前面に出ることへの抵抗感もある。
とくに、Copilotの表示箇所を減らす方針を示したDavuluri氏が参加するイベントで、Copilotが36回も登場した点は皮肉な状況として受け止められた。利用者の反発はAIそのものを否定するものではなく、OSの基本的な品質改善よりもAIが優先されているように映ることへの不満とみられる。
改善計画の実装状況に課題
Windows Latestの記者は、3月の改善計画および7月31日に更新された進捗説明を確認した上で、各施策の実装状況を調べた。実装済みの項目には、タスクバーを画面上部や左右に移動する機能、タスクバーのサイズ変更、更新の一時停止期間を最長35日間に延ばす機能などがある。検索結果にWeb情報を表示しない設定も追加された。これらの機能は段階的に展開されており、利用できる時期は端末によって異なる。
一方、右クリックメニューの改善、WinUI 3を利用したプロパティ画面や「ファイル名を指定して実行」の画面などは、開発者向けの試験版にとどまる。ファイルエクスプローラーの高速化やウィジェットの通知抑制も、部分的な実装と評価されている。
さらに、8GBメモリ搭載PCの最適化、セットアップ画面数や再起動回数の削減、WinUI 3を採用したスタートメニューの刷新などは、実装を確認できていない。携帯型ゲーム機でWindows HelloのPINをゲームパッドから設定する機能も、記者の調査範囲では発表を確認できなかったという。
Microsoftは、こうした改善策の多くを秋から順次提供する方針を示していた。一方、今回のイベントで紹介された新しいWindows Searchは、数少ない好意的な評価を得た機能だ。WinUI 3を基盤とする新しい検索機能では、マイクの音量調整やダークモードへの切り替え、スクリーンショットの撮影、ウィンドウの配置などを検索結果から利用できる。年内の提供が予定されている。
Windows Latestは、AI機能の充実だけでなく、Windows 11の基本性能や使いやすさの改善状況を具体的に示すことが重要だと指摘する。改善計画には実装を確認できていない項目も残っており、Microsoftが今後、品質向上の成果や提供時期をどのように示すのかが注目される。