AIブームを牽引する企業の一つ、米NVIDIA。同社はファミリーレストラン「デニーズ」で生まれたアイデアを起点に、世界で最も企業価値の高い企業へと成長した。CEOのジェンスン・フアン(Jensen Huang)氏によると、その成功を支えてきたのは、甘やかさとは無縁の「苦しみ」だという。
成功に欠かせない「苦しみ」
フアン氏は先月下旬、米国と韓国の交流イベントを開催する「The Korea Society」内での対談で「私ほど苦しみに対処できる人はいないと思う。何か大きなことを成し遂げるには、苦しみを乗り越えなければならない。成功への道のりは決して楽ではない。もし簡単にできることなら、誰にでもできるはずだ」と語った。
フアン氏が経験してきた苦しみは、NVIDIAの創業から33年の歴史とともに変化してきた。創業初期は、自分たちが何をすべきか分からないこと自体が苦しみにつながっていたという。
「会社を成長させる過程では、葛藤もある。自分たちの将来性を信じてくれない人もいれば、自分たちの能力を信じてくれない人もいる。市場や顧客が自分たちを信じてくれないこともある」(フアン氏)
こうした苦境を乗り越えるには、失敗や逆境に直面しても立ち直る回復力や、堪え強さ、強い意志が必要だとフアン氏は考える。
「自分自身を信じ続けるには、回復力が必要だ」(フアン氏)
成功の陰にある「倒産の恐怖」
フアン氏が苦難の重要性を語ったのは、今回が初めてではない。2024年に米スタンフォード大学経営大学院の学生らと対談した際にも、キャリアの中で困難に直面することを恐れないよう促していた。
「期待値が非常に高い人は、思い通りにいかなかったときに立ち直るのが難しい。だが、成功するには、失敗や困難から立ち直る力が欠かせない。私の大きな強みの1つは、物事に過度な期待を抱かないことだ。どうすればその考え方を人に教えられるのか分からないが、ただ、皆さんにも苦しみを経験してほしい」(フアン氏)
こうした考え方は、フアン氏の仕事への向き合い方にも表れている。同氏は休日も含めて週7日働いているという。その原動力の1つとなっているのが、NVIDIAが失敗に終わるかもしれないという、消えることのない恐怖だ。
フアン氏は2024年、ポッドキャスト番組「The Joe Rogan Experience」に出演した際、こう語った。
「『倒産まであと30日』と、私は33年間言い続けている。自分たちが脆弱(ぜいじゃく)であるという感覚や、先行きの不確実性、不安は決して消えない」
米誌FortuneはNVIDIAにコメントを求めたが、同社は回答しなかった。