Claude Fable 5でキャリアの棚卸しに挑戦 AIが「正した記憶」まで見抜いてくれた【プロンプト解説】
Claude Fable 5でキャリア棚卸し AIが記憶の偏り指摘

ITmediaの記者が、Anthropicの最上位モデル「Claude Fable 5」を使って自身のキャリアの棚卸しを試したところ、想定以上に具体的で実践的な提案が得られたという。AIに渡す情報量が分析や提案の質を大きく左右するとの実感を、実際のプロンプトとともに紹介する。

キャリア棚卸しの進め方と基本プロンプト

キャリアの棚卸しといっても、最初から大量の情報を用意する必要はない。AIに質問してもらいながら情報を深掘りしていけばよい。まずは使用モデルにFable 5を選択したうえで、以下のように送信する。

プロンプトでは「これから私のキャリアの棚卸しをしたいので、インタビューをしてください」と依頼し、進め方の希望として「一度に1つずつ質問し、私の回答を踏まえて深掘りすること」「一般論ではなく、私が実際にやったことを具体的に聞き出すこと」「話を進めるなかで、手元の資料を見たほうが精度が上がると判断したら、どんな資料が必要かを具体的に言うこと」などを指定する。さらに「私が『それは大したことではない』のような発言をした場合も、うのみにせず確認すること」と指示を加える。

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AIとの対話で記憶の偏りを修正

すると、AIから最初の質問が返ってくる。まずは職種や業界、在籍年数といった基本的な情報に加え、「日々の業務のなかで一番時間を使っていること」を聞かれた。回答すると、「一番時間を使っている業務」として挙げたものについて深掘りする質問が返ってきて、具体的な仕事を挙げると、それに関連したデータの提出を求められた。

資料を求められた場合、個人情報や機密情報はマスキングしたうえで渡す必要がある。その場合も、以下のように質問すればどこをどう伏せればよいか提案してもらえる。社内規程の関係で出せない資料や、すぐに確認できない資料の場合は「手元にないので、覚えている範囲で答えます」などと回答し、概要のみ伝える形でも問題ない。

この後、さらに回答を深掘りする質問やそこから派生した話題についての質問が続き、成功事例や工夫した点、失敗したと感じる仕事などについて回答した。これらの回答は整った文章である必要はない。思ったことをそのまま答えていけばよい。

やりとりが長いほど内容を深掘りできるが、時間がない場合は区切りのいいところで切り上げることもできる。その場合は以下のように指示すればよい。ここでポイントになるのが、単にこれまでの内容を要約するのではなく、正確な分析がなされていない可能性のある箇所を明確にしたうえでまとめてもらうことだ。

AI分析の結果と実践的な活用

生成AIはユーザーに肯定的な出力を返しがちで、根拠のないユーザーの自己申告まで事実として評価してしまう可能性がある。逆に、ユーザーが過小評価して話した部分は、そのまま誇張せずに受け取ってしまう場合もある。こうしたAIならではの回答のクセを踏まえて指示を出すと、より実態に近い回答が得られるようになる。

実際の分析では、筆者が「当たり前」と言ったが、実は強みであるものとして「取材先で目的と読者像を共有する——相手に説明レベルの判断基準を渡す技術」が挙げられた。「特別なことはしていない」と言われましたが、これをやらない広報は多いですとの指摘があった。また、根拠が乏しい部分や誇張している可能性がある部分も正直に指摘された。数値で裏付けを取るべき箇所としては、検索システム記事のアクセスデータ(PV、読了率、他記事との比較)が挙げられ、実数が出せなければ「通常記事の約○倍」の相対値で可、とされた。

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筆者もClaude Fable 5のリリース直後に自身のキャリア分析を試し、想定以上に具体的で実践的な提案が得られて驚いた。AIに渡したのは、これまでに手掛けた仕事のリストやWebサイトのURL、SNSのアクセス解析データなどだ。強みなどの分析に加え、SNSごとの方針や投稿作成用のプロンプトも作成してもらえた。さらに、今後注力していきたい領域を伝えると、中長期的な戦略を立てたうえで、定期的な「経営戦略会議」を実施することが決まった。

実践してみて感じたのは、AIに渡す情報の量が分析や提案のクオリティを大きく左右することだ。もちろん、業務上渡しても問題のない情報であることが大前提だが、情報が多ければ多いほど、自分のことを理解した回答が出力される。なお、Claudeは音声対話でやりとりすることもできる。今回のように自分の記憶をたどりながら回答する場合、文字を入力するより音声のほうがスムーズに答えが出てくるかもしれない。

AIの分析がすべてではないものの、数的な裏付けを踏まえて分析してくれるため、自分の記憶や感覚に頼って振り返る場合に比べ、客観的な視点を入れることができる。従来の方法とはひと味違う自己分析の形として、試す価値があるといえる。