場所を問わず働く「ノマドワーカー」や移動しながら生活する「アドレスホッパー」として知られる女性経営者、武市栞奈さん(まどんなクリエイト代表)が、その生活スタイルの実態を語った。武市さんは出身の松山市を拠点に、月の半分を愛媛県外で過ごす多拠点生活を実践している。
移動生活のきっかけと経緯
武市さんは大学卒業後に地元銀行に就職し、27歳で退職した。新型コロナが落ち着き始めた2021年末から旅に出たという。当初はノマド的な暮らしをしながら働くイメージはなく、満足すれば飽きると思っていたと振り返る。
現在は中小企業や個人事業主の経営を支援する会社を運営。銀行での営業経験を生かし、取引先の相談には「ゼロ回答はしない」と心がけ、退職後も旧知の企業から相談を受ける機会が多かった。現在は業務委託する専門家も9人おり、面談の9割はオンラインで行っている。
費用面と人間関係の変化
移動生活の初期はホテルなどに泊まり、交通費と合わせて月20万~30万円ほどかかった。しかし、ゲストハウスのオーナーや町おこしに取り組む人々との交流が増え、誘われて行くことも多くなった。宿泊費代わりではないが、外国人客の通訳や町おこしの相談に乗ることもあるという。
武市さんは「いくつかの街で『おかえり』と言ってもらえる人間関係が生まれた」と語り、次第に人と会うことが目的だと気づいたと話す。「日本にいくつも帰る場所があるのは心強く、自信にもなる。どこにでも居場所があるのは、ちょっとした無敵感もある」とその魅力を語った。
今後の展望
武市さんは、自由な生き方を実現したい人を支援するオンラインサロンを主宰し、旅する暮らしを始めたい人に地域を案内する企画も始めた。琴平町では松山―琴平間の観光ルート作りに関わり、国内外のデジタルノマドを広島や松山に誘致するイベントも主催している。「私が起点となって、新しい旅の形を色んな人と一緒に作っていきたい」と今後の抱負を語った。



