米司法省は8月、中国系動画アプリ「TikTok(ティックトック)」の親会社であるバイトダンス(ByteDance)を提訴した。同省は、バイトダンスが中国政府とユーザーデータを共有している可能性があるとして、国家安全保障上の懸念を表明している。
提訴の内容と背景
米司法省は声明で、バイトダンスが米国ユーザーのデータを中国政府に提供することを可能にする「データ共有契約」を結んでいると主張。これにより、中国当局が米国人の個人情報にアクセスできる可能性があると指摘した。バイトダンスはこれに対し、「事実に基づかない申し立て」と強く否定し、法廷で争う姿勢を示している。
今回の提訴は、トランプ前政権時代から続くTikTokに対する安全保障上の懸念の延長線上にある。2020年にはトランプ大統領がTikTokの米国事業売却を命令したが、バイデン政権に交代後、その命令は撤回された。しかし、米政府は依然としてTikTokのデータ管理体制を警戒しており、今回の提訴に至った。
TikTokの反論と今後の見通し
TikTokは声明で「当社は米国ユーザーのデータを中国政府と共有したことはなく、共有するつもりもない」と強調。さらに「司法省の主張は誤った情報に基づいており、法的根拠を欠く」と反論した。同社は米国にデータセンターを設置し、ユーザーデータを国内で管理することを約束しているが、米政府の懸念は払拭されていない。
専門家の間では、この訴訟が長期化する可能性が指摘されている。米国と中国の間の技術的・地政学的な緊張が高まる中、TikTokの運命は両国関係の行方にも影響を与えかねない。バイトダンスは米国での事業継続を目指す一方、中国政府は自国の企業を保護する姿勢を崩していない。



