翅(はね)に文字が書かれた「アサギマダラ」を鹿児島県の沖永良部島で発見したという写真がXに投稿され、大きな反響を呼んでいる。仁平岳登(Gakuto NIHEI)さん(@gakuto_hanshi8)が「本投稿がマークした人に届くことを祈っています」というコメントとともに投稿したこの画像には4.7万いいねが集まり、長距離を移動する蝶の驚くべき生態に多くの驚きの声が寄せられた。
発見時の状況や、SNSを通じて生まれたつながりについて、仁平さんに話を聞いた。
「ゆっくり飛んでいた」異変に気づく
「他の個体より少しゆっくり飛んでいるように見えるアサギマダラがいて、よく見ると翅の模様が通常と異なっているようだったので採集してみたところ、案の定マーキングされた個体でした。鱗粉が擦れていてところどころ破けている箇所があり、同じ場所で見られた他の個体よりも傷んでいるように見えました。ゆっくり飛んでいたのも、羽化してからかなり時間が経っているからだろうと推察されました」
アサギマダラのマーキング調査自体は経験があったといい、「採集時にはそれほど大きく驚きませんでしたが、5ヵ月後の再捕獲は珍しいのではないかと後になってその記録の重要性を実感することとなりました」と振り返る。
岡山から飛来、初めての遠隔地個体
翅に書かれた文字(「けしご山」「11.6」など)を読み解き、岡山県から海を渡って飛んできたと知ったときの印象について、「アサギマダラのマーキング調査でこのような再捕獲事例はよく聞いていましたが、実際に遠隔地から飛来した個体を見るのは初めてでしたので目を見張るような感慨を受けました」と語る。
発見に至った経緯については、「マーキング調査のことは知っていましたし、大学での実習での経験もありました。しかし、普段からよく観察しているわけではありませんでした。今回の個体は前述のように翅の文字や飛び方などからそれと分かり、気まぐれに捕獲して確認してみたという経緯でした」と説明する。
SNSで生まれた「アサギマダラの縁」
投稿後、実際にマーキングした方や関係者からの連絡などについて、「マーキングされた方とはInstagramでご連絡を取り、お互いの情報を共有することができました。その方とは現在も相互フォローの状態であり、まさにアサギマダラによりつながった縁と言えるでしょう」と明かす。
長距離を移動してきたこのアサギマダラとの出会いを通して改めて感じた昆虫の魅力について、「驚くべき自然に触れられるのが研究者の醍醐味だと、このような発見をすることができて改めて実感しました。私がチョウに惹かれるのは、見た目の美しさだけでなくこのような行動や生態の面白さに魅了されているからなのです」と話す。
「その上今回は、アサギマダラのマーキング調査についてX上で多くの一般の方に見てもらえる機会に恵まれ、望外の喜びを感じております。昆虫の研究はプロの研究者だけでなく市民の方々の貢献があって成立しています。今回のことで、昆虫の生態やその研究の面白さに触れていただけるのであればうれしい限りです」と締めくくった。
仁平さんは普段はアゲハチョウの研究をされており、最近は論文も出版されたそうだ。研究の様子や蝶についての話はXでも発信している。