「壁打ちの機会を頂きたい」——目上の人からこう切り出されたら、あなたはどう感じるだろうか。「壁打ち」は失礼な行為なのか。
7月15日、この言葉づかいをめぐる一つの投稿がX(旧Twitter)で話題となった。投稿者は有名私立大学の准教授だ。同氏は「最近『壁打ち』という言葉を使いたがる自信過剰気味の10代後半から20代前半の人がいる」と指摘。目上の相手に相談や意見を求める際に「壁打ちの機会を頂きたい」と言うのはおかしく、極めて失礼だと指摘し、「壁打ちなら1人でやって下さい」と切りくくった。
これに対し「目上の相手を壁扱いするな」「イラッとする」と同調する声と、「1ミリも不快に思わない」「そんなことで目くじらを立てるのは過剰反応だ」と反発する声が錯綜し、投稿の表示回数はわずか4日で250万を超えた。
「壁打ち」とは何か
「壁打ち」はもともと、テニスや卓球などのスポーツにおいて、1人で壁に向かってボールを打ち続ける自主練習を指していた。それがビジネスシーンに転用され、解決策の提示を求める「相談」ではなく、誰かに話を聞いてもらい、自分の考えを整理する行為を指す言葉として使われている。
単にアドバイスを求めるのではなく、相手の反応を受けてアイデアの方向性を見直す場合に「壁打ち」という言葉が用いられがちだ。近年は生成AIとの対話で思考を整理する「AI壁打ち」が普及し、「壁打ち」という言葉の使用頻度も上がっているように筆者は思う。
判断派も違和感派も一理ある
「壁打ち」を失礼と感じるかどうかは、相手や状況による。目上の人に使う場合、相手を「壁」と見なしていると受け取られるリスクがある一方、意図を理解して受け入れる人も多い。結局は、相手との関係性や職場の文化、言葉の受け取り方次第だ。
この話題は、ビジネスコミュニケーションにおける言葉選びの難しさを改めて浮き彫りにした。何気なく使った言葉が、思いがけない反応を引き起こすこともある。



