「入試面接どうだった?」に「女でした」…会話が成立しない子どもが急増、背景に短文コミュニケーションの弊害
「入試面接どうだった?」に「女でした」…会話成立しない子ども急増

ノンフィクション作家の石井光太氏が、新刊『「ことばで伝える」ができない子どもたち』(日本実業出版社)で、日本語の「文脈」や「行間」を読み解くのが苦手な子どもが急増している実態を明らかにした。入試面接の感想を「女でした」と答えるなど、会話がまったく成立しないケースが相次いでいるという。

「面接どうだった?」に「女でした」――会話が成立しない子どもたち

石井氏は、愛知県の中学校に勤務する女性教員の証言を紹介。「最近の子たちは、何でも一言で表現しようとする」と指摘する。教員が部活の試合結果を尋ねると「まあまあ」、傘を持ってきたか尋ねると「大丈夫です」としか答えない。これでは教員が状況を把握できず、子どもたち同士でも言葉不足から驚くような誤解が毎日起きているという。

さらに象徴的な例として、入試面接の後に保護者が「面接どうだった?」と尋ねたところ、子どもが「女でした」と答えたケースを挙げている。これは「面接官が女性だった」という意味だが、面接の内容や出来については一切語られておらず、会話が成立していない。

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短文テキストに慣れた弊害――「おけです」で闇バイトを引き受ける

石井氏は、こうした傾向の背景にスマートフォンやSNSでの短文コミュニケーションへの過度な慣れがあると分析する。特に若者の間では「了解」を「おけです」と略すなど、最小限の言葉でやりとりする習慣が定着。その結果、文脈を読んだり、行間を補ったりする能力が育たなくなっているという。

深刻なのは、この「短文思考」が犯罪に巻き込まれるリスクを高めている点だ。石井氏は「おけです」といった軽い返事で闇バイトを引き受けてしまう若者が増えていると警告。短い言葉で承諾した結果、自分が何に同意したのか理解しないまま犯罪の片棒を担がされるケースが後を絶たない。

不登校の理由も変化――「そっとしておこう」では解決しない

石井氏は、子どもたちが自分の困りごとを言語化できない問題も指摘する。不登校の理由について、30年前は「いじめ」や「家庭環境」が主だったが、近年は「何となく行きたくない」といった曖昧な理由が増加。子ども自身がなぜ学校に行けないのか説明できず、周囲も「そっとしておこう」と放置してしまう悪循環に陥っているという。

この状況に対して石井氏は、「そっとしておく」だけでは問題は解決せず、大人が積極的に言葉を引き出し、コミュニケーションの練習を積ませる必要があると提言。家庭や学校での対話を増やし、感情や状況を言葉で表現する機会を意図的に作ることが重要だとしている。

石井氏の新刊は、現代の子どもたちが直面する「言葉の貧困」という社会問題に警鐘を鳴らす内容となっており、教育関係者や保護者の間で注目を集めている。

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