文章作成において、AIをどのように活用すべきか。ニコラデザイン・アンド・テクノロジー代表の水野操氏は、『思考を150%言語化するAI文章術』(青春出版社)の中で、「骨格づくりと文章作成の9割はAIが行い、最後の1割の仕上げを人間が担うことで、労力は10分の1でありながら、論理的かつ人間味にあふれた100点満点の文章が完成する」と提言する。
書き出しでつまずかないために:構成が9割
長文を書く際、多くの人は最初の一文で苦戦する。書いては消しを繰り返すうちに時間だけが過ぎ、最終的に「何が言いたいのかわからない」文章に陥ることも珍しくない。水野氏は「文章の良し悪しは、書き出す前の構成(アウトライン)で9割決まる」と指摘。この最も頭を使う構成づくりこそ、AIが天才的な能力を発揮する領域だと強調する。
プロのライターやコンサルタントは、論の展開順序、事例の挿入箇所、結論への導き方を事前に設計する。執筆は設計図が固まってから始めるものであり、いきなり書き出すのは目的地も決めずに航海に出るようなものだ。AIは膨大な文章データを学習しており、「論理的に破綻のない構造」のパターンを熟知しているため、構成づくりにおいて人間よりはるかに優秀だと水野氏は述べる。
AI9割:人間1割の分業が生む効率と品質
水野氏は、具体的なプロンプト例として「○○に関する報告書の構成案をつくって。ターゲットは役員で、××という結論に着地するようにしたい」を挙げる。この指示により、AIは瞬時に序論から結論までの完璧な目次案を提示する。論理の飛躍や重複がない整然とした骨組みが一瞬で完成する。
「自分でゼロから設計図を引くのではなく、AIに骨組みをつくらせることは手抜きではない。優秀な人間の部下がいたら、あなたも同じことを指示するはずだ」と水野氏は説く。この分業により、人間は最後の1割の仕上げに集中でき、無機質なAIの出力に人間味を加えることで、読者の心を動かす文章が生まれる。
「目的」を設定すると出力が劇的に変化
AIに指示を出す際、単に「文章を書いて」と頼むのではなく、目的を明確に設定することが重要だ。水野氏は「『動かすために書く』という視点でプロンプトを設計すると、出力の質が劇的に変わる」と解説。例えば、親友や最愛のパートナーからの手紙をイメージして書くよう指示すると、AIはより人間味のある表現を選ぶようになる。
また、AI時代において「読めないこと」が致命的な欠陥になり得ると警告する。論理的な構成と人間の感性による仕上げが、読み手の共感を得るために不可欠だ。水野氏の手法は、労力を従来の10分の1に削減しながら、品質を維持する実践的なアプローチとして注目される。
※本稿は、水野操『思考を150%言語化するAI文章術』(青春出版社)の一部を再編集したものです。



