2026年、ローエンドスマートフォンに激変!メモリー高騰でメーカー戦略が二分
2026年、ローエンドスマホに激変!メモリー高騰で戦略二分

低価格で購入しやすいことから人気が高い、ローエンドのスマートフォン。ですが、2026年は円安に加えメモリーの価格高騰と相次ぐ部材の高騰で、ローエンドスマートフォンには大きな異変が起きており、メーカー各社の戦略も大きく分かれているようです。

メモリー高騰で高価格帯シフトを明確にしたシャープ

政府によるスマートフォンの値引き規制が厳しくなり、円安が急速に進んだことでスマートフォンの価格が大幅に高騰した2022年以降、性能は低いが価格は安いローエンドスマートフォンの人気が急速に高まりました。ですが2026年、そのローエンドスマートフォンに激変というべき大きな変化が生じています。

それを引き起こしているのは、AIデータセンター需要の急速な高まりを受けて生じた、メモリーやストレージの不足による大幅な価格高騰です。実際、メーカー関係者からは、従来と同じ容量のメモリー・ストレージで数倍は価格が上がっている、との声が多く聞かれる状況にあります。

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そしてこの価格高騰は、スマートフォンの中でもローエンドモデルほど強く影響が出やすいといわれています。なぜなら、ローエンドモデルは価格の安さが重要なので、ハイエンドモデルのように値上がり分の価格を製品価格に簡単には転嫁できないからです。

それゆえ、ローエンドモデルは部材が高騰すると途端に利益が出せなくなり、製品を提供すること自体が難しくなってしまいます。実際、2023年には円安の急速な進行による部材価格の高騰が直撃し、ローエンドモデル「arrows We」に力を入れていた旧FCNTが経営破綻。中国レノボグループの傘下に入るといった出来事も起きています。

それだけに、ここ最近のスマートフォンメーカーの動向を見ていると、ローエンドのスマートフォンの新製品投入を巡っては判断が大きく分かれているようです。

「投入しない」という判断を下したのがシャープ。実際、シャープは2026年6月9日の事業説明会で、スマートフォンの厳しい事業環境を受けて、ミドルクラスやハイエンドの販売比率を高める方針を明確に打ち出していました。

そのことを裏付けるように、2026年6月16日の新製品発表会では、スマートフォン新製品として発表されたのはハイエンドモデル「AQUOS R11」のみ。2025年の同じ時期には、AQUOS R11の前機種「AQUOS R10」に加え、ローエンドモデル「AQUOS wish5」も発表していたのですが、2026年は少なくとも現時点においては、ローエンドの新機種を見送る判断をしているようです。

一方でシャープは、新たにウェアラブルデバイス「からだメイト Watch」「からだメイト Ring」の投入を発表。これらは、専用のスマートフォンアプリ「からだメイト」を通じて身体の情報を管理する仕組みですが、このアプリには月額600円の有料サービス「からだメイトPlusプラン」が用意されており、厳しさを増すスマートフォン単体でのビジネスから、デバイスとサービスを連携して継続的に売り上げを得るビジネスへとシフトしようとしている様子が伺えます。

低価格帯への挑戦を続けるFCNT、だが状況は厳しい

シャープとは逆に、ローエンドモデルを「投入する」という判断をしたのがFCNTで、同社は2026年6月11日にローエンドモデルの新機種「arrows We3」の発売を発表しています。arrows We3は、2024年発売の前機種「arrows We2」を踏襲し、約6.1インチというコンパクトボディながら5,000mAhの大容量バッテリーを搭載し、なおかつ1.5mの高さから落下しても画面が割れにくいなど、FCNTらしい頑丈さが特徴となっています。

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ですが、世界的には大画面化が進んでいる現状、コンパクトな画面サイズには需要がなく、ローエンドモデルほど多く流通していて価格が安い大画面のディスプレイを採用せざるを得ない実情があります。それでもFCNTでは、コンパクトなスマートフォンに馴染んでいる日本のユーザーニーズに応えるべく、arrows We3向けに専用の液晶ディスプレイを独自に開発。コンパクトで72.87mmという片手でも持ちやすい横幅を実現しながらも、arrows We2より大きな5,000mAhのバッテリーを搭載したそうです。

それに加えて、カメラにはソニー製のイメージセンサー「LYTIA 600」を採用するなど、さまざまな強化が図られています。一方で、チップセットは台湾メディアテック製の「Dimensity 6300」と、arrows We2が採用していた「Dimensity 7025」の下のクラスのものを採用しています。また、RAMとストレージはそれぞれ8GB/128GB、4GB/64GBの2モデルが用意されていますが、下位モデルの容量はarrows We2と変わっていないので、2026年の最新モデルとして見ると性能が抑えられていることが分かります。

それでいて価格は、「Amazon.co.jp」で販売されているSIMフリー版を確認しますと、4GB/64GBのモデルで42,000円、8GB/128GBのモデルで56,800円となっています。arrows We2の実売価格は、4GB/128GBモデルのSIMフリー版が36,850円だったことから、やはり価格上昇は避けられなかった様子がうかがえます。

なかでも大きな影響を与えているのは、やはりメモリーやストレージの価格高騰で、あえて4GB/64GBのモデルを用意したのも価格を引き下げる狙いが大きいようです。ただ、その結果として今後のOSアップデートに影響が出てしまっており、OSのアップデートは最大1回、セキュリティアップデートは3年までと、arrows We2(OSアップデート最大2回、セキュリティアップデート4年)より引き下げられているのが悩ましいところです。

これら2社の動向を見ても、ローエンドモデルを投入するにしても、しないにしても、メモリー・ストレージ価格の高騰にメーカー各社が非常に悩まされている様子がよく伝わってきます。ですが、今後はメモリー不足が価格高騰だけでなく、入手そのものを難しくすることにもつながってくる可能性があるようです。

そうなれば、利益の出ないローエンドモデルを投入しないという判断を下すメーカーは一層増え、スマートフォンは安価な製品ほど入手しづらくなることが予想されます。メーカーだけでなく消費者の側も、先手を打って何らかの対処をしておく必要があるのかもしれません。