中国各地で、観光の目玉となっているドローンによる空中ショーが急きょ中止される例が相次いでいる。北京の超高層ビルに小型機が衝突した事案を受け、中国政府が統制を強化したことが要因とみられる。食品配送など日常的な無人機利用にも規制の動きが広がり、中国が国を挙げて成長を促していたドローン産業は転換点を迎えている。
各地で中止相次ぐ
ドローンショーは、LEDを搭載した数千ものドローンを夜空に飛ばし、プログラム制御で図形や文字を描くもので、空中のイルミネーションとして人気がある。
今月7日、安徽省宿州市当局は「上級部門の通知により、空域管制の影響で8日に予定されていたドローンショーは中止する」と発表した。重慶市や甘粛省敦煌、湖南省長沙などの観光地でも7、8、9日に予定していたショーが突然中止された。貴州省にある観光施設の担当者は取材に「管制の影響で中止になった。いつ再開できるか分からない」と答えた。
「低空経済」の育成
習近平政権は、高度1000メートル以下の空域を利用するドローンなどのビジネスを「低空経済」と呼び、新たな成長エンジンと位置づけている。2026~30年の経済・社会政策の方向性を示す第15次5か年計画にも「大きく育成させる」と明記した。
今年の春節(旧正月)期間中には、中国全土でドローンショーが開催された。中国紙・証券日報によれば、ショーを手がける広東省深センの新興企業1社だけで期間中の実施回数が約430回に上ったとし、「文化観光の目玉になっている」という。
小型機衝突と規制強化
6月下旬、北京中心部の高層ビルに小型機が衝突し、1人が死亡、13人が負傷する事案が発生した。香港英字紙サウスチャイナ・モーニングポストは、ショー中止の動きはこの事案を受けた措置だとし、「政府はリスク管理を強化し新たな脅威に対処している」と伝えた。
同紙によれば、上海では送配電網の点検でドローン使用を控える動きが広がる。深センでもドローンによる出前サービスが一時停止された。ドローン関連産業は政府が振興を後押ししてきただけに、業界では戸惑いが広がっている。



