秋田県は20日、ロボットを活用して県営水力発電所の導水路を3次元データにして解析する、全国初の実証事業に取り組んでいると発表した。調査期間を従来の4分の1に抑えられるなどコスト削減につながるほか、正確なデータを蓄積できるという。将来的に技術を全国へ波及させることを目指す。
老朽化進む県営水力発電所の課題
県公営企業課によると、16か所ある県営水力発電所は、1950~60年代から稼働する施設が多く、老朽化が進んでおり、点検の重要性が増している。しかし、ダムと発電所を結ぶ斜面に作られた導水路は傾斜がきつく、閉鎖空間でもあるため、現行の作業員による目視点検は危険性が伴う。目視の計測データは客観性に欠けるという課題もあった。
これらの解決に向けて県は、経済産業省の補助金を活用し、ロボットによる3次元計測に2025年度から乗り出した。データの計測や解析は、「点群ラボ」(東京都)と「産機エンジニアリング」(福岡県)の2社に委託している。
実証事業の成果と今後の展開
2025年度は、杉沢発電所(五城目町)の直径2.4メートルの導水路に、高さ約1メートルのロボットを走らせた。4.5キロに及ぶ導水路から約40億点の3次元点群データを収集した結果、従来の方法で見つけられた壁の剥離や欠損を全て検出できていたことに加え、目視で見つけるのが難しい小さな変化も検出することができた。点検期間も、これまで1か月かかっていたものが1週間程度に短縮され、有効性が確認できたという。
今年度は10月から、鹿角市にある柴平発電所と八幡平発電所の2か所で実証事業を行う。昨年度からの改良点として、より傾斜に対応できるロボットを新たに開発しているほか、AI(人工知能)を活用して異常箇所がどのような種類なのかを自動で解析できるようにする。その先は、他の水力発電所でも、3年ごとに行っている点検でロボットを導入していく。また、現時点ではロボットの計測に人が付き添っているが、将来的には完全な無人を目指すという。
水力発電所は全国に1800か所近くあり、県は経産省などを通じて、事業内容を全国に発信していく。県庁で開いた記者会見で高橋源悦・県産業労働部長は「デジタル人材の育成などを通じて、県内産業の活性化につながることを期待している」と話した。



