立命館大学准教授の谷原つかさ氏が行った約3000人規模の調査で、政治経済・ビジネス系のYouTubeチャンネルを視聴する人々は、テレビや新聞よりも「自分が見ているチャンネル」を信頼していることが分かった。谷原氏は『フィードの中の民主主義 SNS時代の世論と情報の届き方』(朝日新書)を出版し、その中で詳細を解説している。
テレビ・新聞より高い「自分で選んだチャンネル」への信頼
調査では、まず各メディア全体の信頼度を測定。SNSやTikTok、YouTubeに比べ、テレビ・新聞の信頼度が高いという結果が出た。ただし、YouTubeはかなり追い上げており、TikTokとの差は明確だった。日本人のTikTokへの信頼はまだ高くないとみられる。
次に、日本で人気の政治経済・ビジネス系YouTubeチャンネルを個別に挙げ、視聴経験のある人を対象に信頼度を質問した。その結果、ほとんどのチャンネルが信頼度の中間値である4を超えた。テレビ・新聞の信頼度が3.86だったのに対し、「自分の見ているチャンネル」はそれを上回る。
統計的に有意な差、ただし差は小さい
比較の公平性を期すため、テレビ・新聞を全く見ない人を除いて再計算すると、テレビ・新聞の信頼度は4.08に上昇。それでも個別チャンネルの平均4.26には及ばず、統計的検定の結果、有意な差があると結論付けられた。ただし、差は小さいと評価されている。
谷原氏は「ネットは玉石混淆であると気づきつつも、人々は自分が見ているYouTubeチャンネルは信頼できると思う傾向にある」と指摘。ノルウェーの研究でも、Facebook経由で見たニュースは元サイトで見るより信頼性が低いことが示されており、媒体そのものによって信頼度に差が出ることが示唆される。
「自分のメディア空間」形成の時代へ
欧米ではオルタナティブメディアの広がりも指摘されており、谷原氏は「自分のメディア空間」を形成する時代が来ていると論じる。人々がどのように情報を選び、信頼するのか。その実態は、SNS時代の民主主義を考える上で重要な示唆を与えている。



