電気自動車(EV)への移行が世界的に加速する中、日本の自動車部品大手各社が半導体事業の強化に乗り出している。従来のエンジン車向け部品からEV向けの電動化・知能化部品へのシフトを背景に、半導体の内製化や外部企業との連携を進める動きが顕著だ。
デンソー、半導体設計子会社を設立
デンソーは2024年4月、半導体設計を手掛ける新会社「デンソーセミコンダクター」を設立した。同社はパワー半導体やセンサー、マイコンなどの設計を担い、2025年度までに設計人員を現在の約300人から500人に増強する計画だ。デンソーはこれまで半導体の設計を一部外注していたが、EV化に伴い需要が拡大するパワー半導体の内製化を進めることで、競争力の向上を狙う。
デンソーの林宏之社長は、「半導体は自動車の電動化・知能化に不可欠な基幹部品。内製化により、車両システム全体の最適化を図る」と述べている。同社は2025年度までに半導体関連投資に約1600億円を投じる方針で、これは年間設備投資額の約3割に相当する。
日立Astemo、車載半導体の開発体制を強化
日立Astemoも車載半導体の開発体制強化を進めている。同社は2023年、日立製作所の半導体部門と連携し、EV向けの高効率パワーモジュールやセンサーの開発を加速。特に、炭化ケイ素(SiC)を用いたパワー半導体の採用を拡大し、2025年までに同社のEV向けインバーターの約半数にSiC半導体を搭載する計画だ。
同社のブリヂストン・ピーターCEOは「半導体はEVの性能を左右する重要な要素。グループ全体の技術力を結集し、競争優位を築く」と強調する。日立Astemoは2024年度、半導体関連の研究開発費を前年度比20%増の約800億円に拡充する見通しである。
サプライチェーン見直しの動き
半導体不足を経験した自動車業界では、サプライチェーン全体の見直しが急務となっている。部品大手各社は、半導体の安定調達と技術力向上を両立するため、内製化だけでなく、半導体メーカーとの資本提携や長期契約も積極的に進めている。
例えば、デンソーは2023年に半導体大手のロームとSiC半導体の長期供給契約を締結。また、日立Astemoはルネサス エレクトロニクスとの協業を強化し、車載マイコンの安定調達を図る。
業界関係者によると、「EVシフトにより、1台当たりの半導体搭載数は従来のエンジン車の2倍以上に増加する」とされ、部品大手の半導体戦略は今後の競争力を左右する重要な要素となりそうだ。



