半導体戦略推進会議が始動
日本の半導体産業の競争力強化を目指し、経済産業省が中心となって産官学連携の新組織「半導体戦略推進会議」を発足させた。この会議には、ルネサス エレクトロニクスやキオクシアなどの主要半導体メーカー、東京エレクトロンなどの製造装置メーカー、そして東京大学や東北大学などの研究機関が参加。政府も積極的に支援し、10年後には国内半導体の売上高を現在の約5兆円から15兆円に引き上げる目標を掲げている。
目指すのはグローバル競争力の回復
かつて世界をリードした日本の半導体産業は、韓国や台湾の台頭によりシェアを低下させてきた。しかし、近年の半導体不足や地政学的リスクの高まりを受け、各国が半導体の国内生産強化に乗り出している。日本も例外ではなく、先端半導体の製造技術や次世代パワー半導体の開発に注力。特に、2ナノメートル以下の微細化技術や、炭化ケイ素(SiC)を用いたパワー半導体の量産技術の確立を急ぐ。
産官学の役割と連携の具体策
推進会議では、以下の3つの柱を中心に活動を展開する。
- 技術開発の加速:産学連携で次世代半導体の研究開発を促進。特に、官民ファンドによる大規模な投資を行い、試作ラインの整備や設計基盤の強化を図る。
- 人材育成の強化:大学や高専での半導体教育プログラムを拡充。企業と連携したインターンシップや、海外からの優秀な研究者・技術者の受け入れを促進する。
- サプライチェーンの強靭化:国内での製造拠点の分散化や、原材料・製造装置の安定調達を目指す。さらに、災害や地政学リスクに備えた備蓄体制も構築する。
政府は、これらの取り組みに対して、今後10年間で総額10兆円規模の公的支援を行う方針。これにより、民間投資も含めた総投資額を30兆円以上に引き上げ、半導体産業の国際競争力を回復させる狙いだ。
課題と展望
一方で、目標達成にはいくつかの課題も指摘されている。第一に、深刻な半導体人材不足。国内の半導体技術者は減少傾向にあり、高度な知識を持つ人材の育成が急務だ。第二に、巨額の投資に見合う収益性の確保。半導体市場は変動が激しく、需要予測が難しい。第三に、国際協調と競争のバランス。各国が自国優先の政策を強化する中で、日本がどのように協調しつつ競争力を高めるかが問われる。
それでも、今回の産官学連携は、日本の半導体産業にとって大きな転機となる可能性を秘めている。特に、自動車や産業機器など、日本が強みを持つ分野での半導体需要は拡大しており、差別化された製品の開発が期待される。また、脱炭素社会の実現に向けて、省エネ性能に優れたパワー半導体の需要も高まっている。
半導体戦略推進会議は、今後四半期ごとに進捗を報告し、必要に応じて戦略の見直しを行うとしている。日本の半導体復活の成否は、この組織の取り組みにかかっていると言えるだろう。



