ソフトバンクグループ(以下、ソフトバンクG)は8月6日、2027年3月期第1四半期(4〜6月)の純利益が3473億円で、前年同期比17.7%減だったと発表した。
NAVは過去最高の72兆円に到達も、8月には58兆円へ下落
保有株式の時価評価純資産(NAV:ネットアセットバリュー)は6月末時点で72兆3000億円に達し、過去最高を記録。一方で、株式市場の変動を受けて、8月5日時点のNAVは約58兆円に落ち込んでいる。
同日に開催した決算説明会で、後藤芳光氏(取締役 専務執行役員 CFO兼CISO)は「ダイナミックに動く市場の影響を受ける」としつつ、「過去のトレンドからみれば相当な数字だ」とコメントした。
純利益の成長を牽引したのはIntel株
第1四半期の投資利益は1兆8594億円で、前年同期の4869億円から大きく伸びた。この成長を支えたのは、米OpenAIでも、半導体設計メーカーの英Arm Holdingsでもない。投資利益を押し上げたのは、一度は歴史的な経営難に関わっていた「あの半導体メーカー」だった。
ソフトバンクGの投資利益を大きく押し上げたのが、米Intelだ。投資利益1兆8594億円のうち、1兆3329億円をIntelの公正価値が占める。ソフトバンクGは2025年8月、Intelの株式を20億ドル分取得していた。
「(投資利益が1.3兆円に達した)大きな要因は、実はなんとIntelだ。2025年、米国における半導体事業も注目すべきテーマとして投資した結果、直近3カ月で非常に大きく伸びた」(後藤CFO)
後藤CFOは「4〜6月に半導体銘柄の株価が急騰した。Intelもその一つで、われわれとして『ポジティブサプライズ』だ」とコメント。「半導体領域の各銘柄で株価動きを見せているが、投資会社として彼らの価値がさらに成長することを期待している」と語った。
Arm株は史上最高値、OpenAIには追加出資
ソフトバンクGが投資するArm Holdingsの株価は12億8900万ドルで、第1四半期で過去最高となった。Arm Holdingsは半導体チップの設計を手掛けており、同社の技術を用いたデータセンター向けCPU(中央処理装置)の累計出荷数が6月末で15億個を超えるなど好調に推移している。
OpenAIについては、ソフトバンクGは2026年度に200億ドルを出資しており、10月までに100億ドルを追加出資する予定だ。法人向けサービス「Codex」「ChatGPT Work」の週間アクティブユーザー数が1000万を突破。国内では、ソフトバンクとOpenAIの合弁会社がセキュリティサービス「Patching as a Service」を提供するなど、BtoBビジネスに力を入れている。
データセンターの供給は「慢性的に不足」 計算資源なしでAI発展なし
決算会見では、ソフトバンクGが進めるデータセンター構築計画にも話が及んだ。同社は、米国での大規模なAIデータセンター開発計画「Stargate Project」に着手しているほか、今後450億ユーロを投じて欧州最大規模のAIデータセンターをフランスに建てると発表している。
後藤CFOは、米国でデータセンターの構築ラッシュが起きていることに触れて「この動きに火を点けたのは、われわれの『Stargate Project』かもしれない」と笑った。
足元では「データセンター投資が過剰ではないか」という指摘があるが、後藤CFOは「明確な需要に対して、供給が慢性的に不足しているのは間違いないとみている。データセンターの構築プロジェクトが次々に進行していることは、健全的な状態だと思う」と自信を見せた。
「AIの計算資源が確保できないと、AI技術やAI産業の成長スピードが鈍化してしまう。当社を含む多くのプロジェクトオーナーが、リードしていくことが世界的に必要だ。われわれもその役割を果たしたい」(後藤CFO)
ソフトバンクGは「ASI(人工超知能)時代のNo.1プラットフォーマー」を掲げて、引き続きAI・半導体分野に注力する構えだ。



