JR東海は8日、東海道・山陽新幹線に導入する個室タイプの上級クラス座席「Supreme Class Cabin」を報道関係者に公開した。N700S(16両編成)の7号車と10号車にそれぞれ1室ずつ設置し、10月1日からサービスを開始する予定だ。
生活様式の変化に対応した新サービス
東海道・山陽新幹線では、生活様式や働き方の変化に伴い多様化する利用者のニーズに対応するため、グリーン車より上質な設備とサービスを備えた上級クラス座席を導入する。名称は「Supreme Class」(スプリームクラス)で、最高の品質とサービスを提供するという思いが込められている。個室タイプの「Cabin」と半個室タイプの「Seat」の2種類があり、まず「Cabin」が10月からスタートする。
2種類の個室を用意
「Supreme Class Cabin」は1編成あたり2室で、広さの異なる2タイプを用意。7号車の「Cabin」は快適性の高いリクライニングシート(博多方面向き)とゆったりしたソファ(東京方面向き)を備え、2名でも利用可能。10号車の「Cabin」はリクライニングシート(東京方面向き)のみで、1名専用となる。
両室ともEXサービスと連動した電子錠付き扉を採用し、乗車時に利用する交通系ICカードまたはQRコードで解錠できる。オートロック機能も備える。室内の座席はレッグレスト付きリクライニングシートで、電動ランバーサポートにより背もたれ腰部の形状を調整可能。大型テーブルや専用タブレットも設置し、照明、空調、放送などを個別調整できる。
最先端技術と伝統工芸の融合
室内には、鉄道車両では世界初となる5G対応透明ガラスアンテナ(AGC開発)を採用。公共交通機関では国内初の「PSZ」により音漏れを低減したシートスピーカー(NTTグループ特許技術)も搭載し、手持ちデバイスとBluetooth接続可能。荷物置場には航空機内持ち込みサイズ(55cm×40cm×25cm以内)のスーツケースを収納できる。
また、新幹線の廃車アルミリサイクル材を使用したフレームに、岐阜県の伝統工芸品「美濃焼」のオーナメントを取り付ける。沿線の伝統工芸品を組み込んだオーナメントは今後も順次設置予定だ。
車内サービスと限定商品
「のぞみ」「ひかり」の「Supreme Class」利用者向けに、ウェルカムサービスとして温かい飲み物と沿線ゆかりのお菓子を無料提供(1人1回まで)。備え付けタブレットからモバイルオーダー(有料)で飲み物や軽食を注文でき、パーサーが席まで届ける(一部列車・区間を除く)。「Supreme Class」限定商品として、季節を感じる沿線地域の逸品も順次用意する。
ロゴとブランドイメージ
「Supreme Class」のロゴは商標登録出願中で、中央の曲線で「S」を表現。車窓をイメージした外形の中に富士山や海原など沿線の風景を採用し、黒漆や金蒔絵をイメージした色彩としている。
料金と販売開始日
「Supreme Class Cabin」はEXサービスの「エクスプレス予約」および「スマートEX」で、乗車券と特急券が一体のチケットレス商品として発売。主な区間の通常期「のぞみ」利用(大人片道1名)の料金は、東京~名古屋間が7号車4万6,840~4万7,060円、10号車3万2,440~3万2,660円。東京~新大阪間は7号車6万500~6万790円、10号車4万2,100~4万2,390円。東京~博多間は7号車9万220~9万670円、10号車6万3,620~6万4,070円。9月15日5時30分から販売開始し、以降は乗車日1カ月前の10時から購入できる。
10月1日の下り「のぞみ1号」(東京駅6時0分発)を初列車とし、N700S(16両編成)を使用する「のぞみ」「ひかり」「こだま」の一部列車で、10月時点で1日上下計12本程度運行予定。
今後の展開
半個室タイプの「Supreme Class Seat」は2027年度中にサービス開始予定で、1編成あたり6席(10号車東京寄りのグリーン車座席5列分)を設置。発売方法や料金などの詳細は別途発表される。
東海道新幹線は従来、16両編成で1,300席以上の輸送力を誇る大量輸送が特徴だったが、近年はN700Sへの「S Work車両」や「ビジネスブース」の導入、車いすスペース拡充など利用者ニーズに応じた設備充実を進めており、「Supreme Class」もその延長線上にある。ビジネス利用に加え、旅行や記念日など移動そのものに付加価値を求める需要を取り込む狙いがあるとみられる。ただし、座席の向きを転換できない仕様のため、利用者によって評価が分かれる可能性もある。



