フジテレビジョンのAI実験バラエティ番組『シンギュラ』が、第52回放送文化基金賞のエンターテインメント部門で優秀賞を受賞した。8日に都内で行われた贈呈式で発表された。同番組は、MCのオードリー若林正恭とともに、進化するAIを活用した2つの新企画を届ける内容で、審査員から高い評価を得た。
『脳内大喜利』と『冠代行エーアイ』の革新的試み
番組の核となる企画の一つが『脳内大喜利』だ。これは、お題に対して即座に画像生成AIが回答を生成する、新時代の大喜利を実験するもの。芸人たちの脳内イメージを画像として生成することで、言葉だけでは表現しきれなかった視覚的な笑いを生み出した。もう一つの『冠代行エーアイ』では、俳優・永尾柚乃の見た目、声、思考を再現した「AI永尾柚乃」を生成し、MCを担当させることで、近未来のバラエティ番組を実現した。これにより、人間では不可能な演出や進行が可能となり、新しいエンターテインメントの可能性を示した。
選考理由と飛田Pの思い
選考理由として、「人間とAIの相乗効果で新たな笑いを創り出した。特に『脳内大喜利』では、AIを人間と競わせるのではなく、遊び道具として使うことで、芸人たちの未知の才能を引き出すことに成功した。AI活用の新たなステージを切り拓く新機軸のバラエティである」と評価された。
飛田将斗チーフプロデューサーは、贈呈式で「僕は入社7年目になるんですが、7年前に大学生だった時に『AIとバラエティーの企画を通して、いつかフジテレビでやりたい』という旨をエントリーシートに書かせていただきました。そういったことがこのような形で実を結べて、自分としては大変うれしい限りです」と感慨深く語った。また、「このAIという技術がテレビ番組などでは人間と対立するものとして描かれることが多い中で、自分は何とかそのAIによって人間の魅力を引き出す、そんな番組を目指して今回作らせていただきました。自分にとって初めての企画演出の当番組で右も左もわからない中で支えてくださったスタッフの皆さん、そして出演者の皆さん、さらにMCのオードリー・若林(正恭)さんの皆さんに感謝したいと思います。いつかまたこの場に立てるよう、引き続き新しいもの、テレビコンテンツの可能性を探っていきたいと思います」と力強く述べた。
放送文化基金賞の概要と他部門の受賞作品
第52回放送文化基金賞は、過去1年間(2025年4月~2026年3月)に放送・配信された番組・コンテンツから、優れた作品や個人、グループに贈られる。今回は全国の民放、NHK、動画配信会社などから317件の応募・推薦があった。4月から約2か月にわたる厳正な審査の結果、ドキュメンタリー、ドラマ、エンターテインメント、ラジオの4部門で、それぞれ最優秀賞、優秀賞、奨励賞の16作品と、演技賞や企画・制作賞など個人7件、放送文化・放送技術部門で8件、特別賞1件の受賞が決まった。
エンターテインメント部門では、最優秀賞に『ハートフルワールド 京都・紙屋川砂防ダム編』(CBCテレビ)、奨励賞に『100カメ 羽田空港 空飛ぶ翼を守るプロたち』(NHK)と『ハカタの王様 しんどい通学路選手権 勝手に九州大会編』(RKB毎日放送)が選ばれた。



