トヨタ自動車と日産自動車が、電気自動車(EV)用バッテリーのリサイクル事業で協業を検討していることが、複数の関係者への取材で明らかになった。両社は使用済みバッテリーからリチウムやコバルトなどのレアメタルを効率的に回収し、新たなバッテリー生産に活用する循環型システムの構築を目指す。実現すれば、競合関係にある国内自動車メーカー同士の異例の連携となる。
協業の背景と目的
EV市場の拡大に伴い、使用済みバッテリーの処理が重要な課題となっている。バッテリーに含まれるレアメタルは資源の偏在が大きく、中国など特定国への依存が懸念されている。トヨタと日産は、リサイクル技術の共同開発や回収拠点の共有により、コスト削減と安定供給の確保を図る。関係者によると、両社は数カ月前から協議を開始し、早ければ年内にも基本合意に達する可能性がある。
具体的な協業内容
協業の具体的な内容としては、使用済みバッテリーの回収ネットワークの共同構築や、リサイクル技術の標準化が検討されている。また、リサイクル工程で得られたレアメタルを両社で分け合う方式も想定される。トヨタはハイブリッド車(HV)やEV向けに、日産はEV「リーフ」などで培ったバッテリー技術を有しており、互いのノウハウを活かせる。業界団体によると、国内で発生する使用済みEVバッテリーは2030年には年間約10万トンに達すると見込まれ、リサイクル事業の重要性は増している。
業界への影響と今後の展望
今回の協業は、自動車業界の枠を超えたサプライチェーン全体の変革につながる可能性がある。バッテリーメーカーや素材メーカーも巻き込んだ連携が進めば、日本発のリサイクル技術が国際標準となる可能性もある。一方で、競合関係にある両社がどこまで協力を深められるかが課題となる。日産の広報担当者は「具体的に決定した事実はない」とコメントしているが、業界関係者の間では「環境規制が厳しくなる中、協業は不可避」との見方が強い。



