日本、リチウムイオン電池の固体化で画期的進歩、EV航続距離2倍へ
リチウムイオン電池固体化でEV航続距離2倍に

日本の研究チームが、リチウムイオン電池の固体化において画期的な進歩を遂げ、電気自動車(EV)の航続距離を2倍にできる可能性を示した。この技術は、現在のリチウムイオン電池に使われている液体電解質を固体に置き換えるもので、エネルギー密度を大幅に向上させることができる。

固体電解質の開発

東京工業大学と産業技術総合研究所(産総研)の共同研究チームは、新しい固体電解質材料を開発した。この材料は、従来の液体電解質に比べてイオン伝導度が高く、かつ安定性に優れている。研究チームのリーダーである菅野了次教授は、「この固体電解質を使うことで、バッテリーのエネルギー密度を現在の2倍にすることが可能になる」と述べている。

具体的には、この固体電解質は硫化物系の材料で、リチウムイオンの移動速度が液体電解質に匹敵する。さらに、固体であるため漏洩のリスクがなく、高温でも安定して動作する。これにより、バッテリーの安全性も向上する。

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EV航続距離への影響

現在のEVの航続距離は、一般的に300〜400km程度だが、この技術を適用すれば600〜800kmに延びると見込まれている。これは、ガソリン車の航続距離に匹敵する。また、充電時間も短縮できる可能性がある。産総研の研究員、山田淳氏は「固体電解質を使うことで、急速充電時の発熱を抑えられ、充電時間を現在の半分以下にできる」と説明する。

さらに、この固体電解質はリチウム金属負極との組み合わせが可能で、これによりエネルギー密度はさらに向上する。リチウム金属負極は、現在のグラファイト負極に比べて理論容量が10倍以上あるが、液体電解質ではデンドライト(樹枝状結晶)が発生して短絡する問題があった。固体電解質はこのデンドライトの発生を抑制できるため、リチウム金属負極の実用化が現実味を帯びてきた。

実用化への道のり

研究チームは、この技術の実用化を2030年までに目指している。現在は、実験室レベルでの検証が終了し、量産化に向けた工程開発に移行している。菅野教授は「量産化にはまだ課題があるが、自動車メーカーとの協力により、2030年までに実用化したい」と語る。

また、この技術はEVだけでなく、スマートフォンやノートパソコンなどの携帯電子機器にも応用できる。特に、小型化と高容量化が求められるウェアラブルデバイスにとって、この固体電池は理想的な電源となる。

日本のバッテリー産業への影響

日本のバッテリー産業は、長年リチウムイオン電池で世界をリードしてきたが、近年は中国や韓国の台頭により競争が激化している。この固体電池技術の実用化は、日本の競争力を再び高める可能性がある。経済産業省もこの技術に注目しており、産学連携のプロジェクトに補助金を出す方針だ。

しかし、競合他社も固体電池の開発を進めている。トヨタ自動車は2020年代前半の実用化を目指しており、韓国のサムスンSDIやLG化学も開発に注力している。日本がリーダーシップを維持するためには、早期の実用化が不可欠だ。

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