EVシフトの陰で加速するガソリン車部品サプライヤーの淘汰
EVシフトで加速するガソリン車部品サプライヤーの淘汰

電気自動車(EV)へのシフトが加速する中、ガソリン車向け部品を手掛けるサプライヤーの淘汰が進んでいる。特に中小企業では、受注減少や技術転換の難しさから廃業や事業承継を余儀なくされるケースが相次いでいる。

部品点数の減少がサプライヤーを直撃

ガソリン車のエンジンやトランスミッションなどは数千点もの部品で構成されるが、EVではモーターやバッテリー、インバーターなど主要部品が大幅に減る。ある業界団体の試算によれば、EVの部品点数はガソリン車の約3分の1に減少するとされる。このため、従来の部品サプライヤーの多くが需要減に直面している。

特に、エンジン関連の精密部品や排気系部品を専門とする中小企業への影響は深刻だ。ある部品メーカーの社長は「10年後には現在の受注量の半分以下になる可能性がある」と語る。こうした状況から、事業の継続を断念し、他社への売却や廃業を選ぶ企業が増えている。

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事業承継の難しさとM&Aの活発化

後継者不足も拍車をかける。中小企業の経営者の高齢化が進み、EVシフトへの対応を後継者に託せるかが課題となっている。ある事業承継支援会社の担当者は「技術の転換が必要な中で、後継者が見つからないケースが多い」と指摘する。

こうした状況下で、M&A(合併・買収)が活発化している。同業種や異業種の企業が、技術や顧客基盤を獲得するために買収に動くケースが増えている。特に、EV向け部品への転換を図る企業が、既存の技術を評価して買収する例が目立つ。

政府の支援策と業界の生き残り戦略

経済産業省は、中小部品サプライヤーの事業転換を支援する補助金制度を設けている。しかし、申請手続きの煩雑さや、実際の転換に必要な投資額の大きさから、活用が進んでいないとの声もある。業界団体は「技術転換には時間と資金がかかる。官民連携でより実効性のある支援が必要だ」と訴える。

生き残りを模索する企業の中には、EV向け部品への転換だけでなく、異業種への進出を図る動きも出ている。例えば、自動車部品の精密加工技術を生かして医療機器や航空機部品の製造に乗り出すケースだ。あるコンサルタントは「自動車部品の技術は他分野でも応用可能。新たな市場を開拓できるかがカギになる」と分析する。

業界再編の行方

EVシフトは、自動車産業のサプライチェーン全体を大きく変えつつある。ガソリン車部品サプライヤーの淘汰は避けられない流れであり、今後もM&Aや廃業が続くと見られる。一方で、技術転換や新規事業の開拓に成功した企業は、EV時代においても重要な役割を果たす可能性がある。

業界の再編は、日本の製造業の競争力にも影響を与える。自動車産業は日本の基幹産業であり、そのサプライチェーンの変化は雇用や地域経済にも波及する。政府や業界団体の支援策の成否が、今後の行方を左右することになる。

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