電気自動車(EV)へのシフトが世界的に加速する中、自動車部品サプライヤーはかつてない変革を迫られている。エンジンやトランスミッションなど従来の内燃機関向け部品の需要が減少する一方、モーターやバッテリー、パワーコントロールユニットなど電動化関連部品の需要が急拡大している。この構造変化に対応できなければ、生き残りは困難だ。
部品点数の減少とサプライヤーへの影響
EVはエンジン車に比べて部品点数が約3分の1に減少するとされる。特にエンジンや排気系、燃料系の部品メーカーは事業の根本的な見直しを迫られている。例えば、デンソーはエンジン関連部品の生産を縮小し、EV向けの熱管理システムや電子部品に注力する方針を打ち出している。同社は2025年までに電動化関連の売上高を現在の2倍に引き上げる計画だ。
また、アイシンはトランスミッションで培った技術を活かし、EV用のeアクスル(モーターとギアを一体化した駆動ユニット)の開発を加速している。同社は2030年までに電動化製品の売上高を全体の50%に引き上げる目標を掲げる。
新たな競争と協業の構図
電動化は異業種からの参入も招いている。家電や電子部品メーカーがバッテリーやモーターの分野で存在感を増しており、従来の自動車部品サプライヤーは彼らとの競争にさらされている。一方で、自動車メーカーとの協業も重要だ。トヨタ自動車はデンソーやアイシンと連携し、EVプラットフォームの共同開発を進めている。
さらに、EVシフトはサプライチェーンの再編も促している。バッテリー原料の安定調達やリサイクルシステムの構築が課題となっており、サプライヤーは資源メーカーやリサイクル企業との提携を強化している。
地域別の動きと政府の支援
日本政府は2035年までに新車販売を全て電動車にする目標を掲げ、サプライヤーの技術開発を補助金で支援している。欧州や中国でも同様の政策が打ち出されており、サプライヤーは地域ごとの規制や需要に合わせた戦略が求められる。
例えば、住友電気工業は中国市場向けにEV用ワイヤーハーネスの生産能力を増強している。同社は「中国のEV需要は今後も拡大が見込まれ、現地生産の重要性が増している」とコメントしている。
生き残りをかけたM&Aと事業再編
業界再編も活発化している。2023年には、日本発条がEV向け樹脂部品メーカーを買収し、電動化対応を強化した。また、マレリホールディングスは経営再建の過程で電動化事業に経営資源を集中させる方針を示した。
専門家は「今後5年で現在のサプライヤーの3割が事業転換を迫られる」と予測する。技術開発力と財務体力が試される時代だ。



