電気自動車(EV)への移行が加速する中、自動車業界は部品調達の面で大きな変革を迫られている。従来の内燃機関車からEVへのシフトは、エンジンやトランスミッションなど主要部品の需要を減少させ、代わりにバッテリーやモーター、パワーエレクトロニクスといった新たな部品の需要を急増させている。この変化は、日本企業が長年築いてきたサプライチェーンに根本的な見直しを迫っている。
部品構成の激変と日本企業への影響
EVでは、従来のガソリン車に比べて部品点数が約3分の1に減少すると言われる。一方で、バッテリー関連部品は車両価格の約40%を占めるなど、コスト構造が大きく変化している。これにより、エンジン部品や排気系部品を得意としてきた日本企業は、新たな技術領域への対応を迫られている。例えば、デンソーは内燃機関向け部品からEV向け製品へのシフトを加速しており、2025年までにEV関連売上高を現在の2倍に引き上げる計画を発表している。
サプライチェーンの再構築が急務に
EVシフトに伴い、自動車メーカーは部品調達戦略を根本から見直している。従来の系列取引に依存したモデルから、グローバルな最適調達へと移行しつつある。特に、バッテリーセルやレアアースなどの重要素材では、中国企業への依存度が高まっており、サプライチェーンのリスク分散が課題となっている。経済産業省の報告によれば、日本企業がEV向けバッテリーの主要素材であるリチウムの安定調達を確保するためには、オーストラリアや南米などとの連携強化が不可欠とされている。
日本企業の生き残り戦略
こうした環境下で、日本企業は複数の戦略を打ち出している。第一に、既存の技術をEV向けに転用する動きだ。例えば、日本精工はモーター用ベアリングの高効率化を進め、EVの航続距離延伸に貢献している。第二に、M&Aや提携を通じた技術獲得が活発化している。2023年には、住友電気工業が米国のEV部品スタートアップに出資し、次世代パワーモジュールの開発を加速させた。第三に、政府の支援を活用した研究開発投資の拡大が挙げられる。2024年度の政府予算では、EV関連技術開発に約1000億円が計上され、産学連携プロジェクトが推進されている。
グローバル競争の激化と今後の展望
EV市場では、中国のBYDや米国のテスラが先行する中、日本企業は巻き返しを図っている。トヨタ自動車は2026年までに次世代EVバッテリーを搭載した車種を投入する計画で、これに合わせてサプライヤーとの協業を強化している。しかし、部品調達のグローバル競争は激化しており、価格競争力と技術力の両立が求められる。業界アナリストは「日本の部品メーカーは、高い品質と信頼性を武器に、EV向けの新たな価値提案ができるかどうかが鍵」と指摘する。今後の動向として、ソフトウェア定義車両(SDV)の普及に伴い、ソフトウェアとハードウェアの統合がさらに重要になると見られる。日本企業がこの流れに適応できるかが、自動車産業の未来を左右するだろう。



