EV販売が急減速、欧州と中国で需要低迷が深刻化
EV販売急減速、欧州と中国で需要低迷深刻化

電気自動車(EV)の販売が世界的に急減速している。特に欧州と中国での需要低迷が顕著で、2024年の世界EV販売台数は前年比わずか3%増の約1500万台にとどまる見通しだ。これは、2023年の35%増から大幅な減速となる。

補助金縮小が需要を冷やす

最大の要因は、各国政府によるEV購入補助金の縮小や打ち切りだ。ドイツでは2023年12月に補助金が突然終了し、2024年第1四半期のEV販売は前年同期比で14%減少した。フランスでも補助金対象車種の所得制限が強化され、販売に陰りが見える。中国では2022年末に補助金が完全に廃止され、2024年初頭のEV販売は前年同期比で約10%減少している。

欧州自動車工業会(ACEA)の広報担当者は「補助金に依存してきた市場は、政策変更に極めて脆弱だ。長期的な需要喚起には充電インフラの整備が不可欠」と指摘する。

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充電インフラ不足が普及の壁に

充電インフラの整備遅れも需要低迷に拍車をかけている。欧州連合(EU)は2030年までに公共充電器を350万台設置する目標を掲げるが、現状は約60万台にとどまる。特に南欧や東欧での整備が遅れており、イタリアでは充電器1台あたりのEV台数が20台を超える地域もある。

中国でも充電インフラの地域格差が課題だ。沿海部の大都市では充電器が過剰気味だが、内陸部や農村部では不足している。中国汽車工業協会の統計によると、2023年末時点で公共充電器の約70%が沿海部に集中している。

メーカーが生産計画を下方修正

需要減速を受けて、自動車メーカーはEV生産計画の見直しを余儀なくされている。フォルクスワーゲンは2024年のEV生産台数を当初計画の約100万台から80万台に下方修正した。同社のCEOは「市場の不透明感が強く、需要に応じた柔軟な生産が必要」と述べている。

テスラも2024年第1四半期の納車台数が前年同期比で8.5%減少し、市場予想を下回った。同社は価格引き下げで需要喚起を図るが、利益率の低下が懸念されている。

ハイブリッド車への回帰現象

需要減速の一方で、ハイブリッド車(HV)の人気が再び高まっている。欧州では2024年第1四半期のHV販売が前年同期比で20%増加。中国でもHVの販売がEVを上回るペースで伸びている。消費者は航続距離や充電の手間を気にせず、燃費性能の高いHVを選ぶ傾向が強まっている。

日系メーカーはHVの需要増を追い風に、EVへの移行を慎重に進める方針だ。トヨタは2024年のEV販売目標を従来の約40万台から30万台に引き下げる一方、HVの販売強化を打ち出している。

今後の見通しと課題

国際エネルギー機関(IEA)は2024年の世界EV販売台数を約1500万台と予測するが、2025年以降の成長率は10%程度に鈍化すると見込む。EV普及の加速には、充電インフラの拡充やバッテリー価格の低下、航続距離の延長などが不可欠だ。

また、各国政府の政策の一貫性も重要だ。欧州では2035年以降のガソリン車新車販売禁止を維持する方針だが、ドイツやイタリアなど一部の国では反対意見が強い。中国もEV普及目標を掲げるが、補助金廃止後の需要喚起策が課題となっている。

EV市場の減速は一時的なものか、構造的な転換点なのか。業界関係者の間では見方が分かれており、今後の政策動向や技術革新が鍵を握る。

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