世界的な電気自動車(EV)シフトが一段と加速している。調査会社ブルームバーグNEF(BNEF)の最新予測によると、2025年には世界の新車販売台数において、EVがガソリン車を逆転する可能性があるという。これは、各国の環境規制強化や充電インフラ整備の進展、そしてEV価格の低下が背景にある。
EV販売台数の急成長
BNEFの報告書「電気自動車アウトルック2024」によれば、2023年の世界の新車販売に占めるEV(プラグインハイブリッド含む)の割合は約18%だった。しかし、2025年にはこの比率が50%を超え、ガソリン車を上回ると予測されている。特に中国市場では、2024年時点で既に新車販売の約35%がEVであり、2025年には50%を超える見込みだ。
BNEFのアナリスト、コリン・マッケラッチャー氏は「EVの価格競争力が向上し、消費者の受容が広がっている。特に中国では、政府の補助金と充電インフラ整備が需要を牽引している」と指摘する。
ガソリン車の終焉が目前に
ガソリン車の販売は、2023年にピークを迎えた可能性が高い。BNEFのデータによると、ガソリン車の年間販売台数は2023年の約7000万台をピークに減少に転じ、2025年にはEVに抜かれる見通しだ。ディーゼル車を含む内燃機関車全体でも、2025年以降は減少が続くと予想される。
この傾向は、欧州連合(EU)の2035年までのガソリン車新車販売禁止目標や、米国のインフレ抑制法(IRA)によるEV購入補助金など、政策面での後押しも大きい。日本でも、経済産業省が2035年までに新車販売を全て電動車にする目標を掲げている。
充電インフラとバッテリー価格が鍵
EV普及の鍵を握るのが、充電インフラの整備とバッテリー価格の低下だ。BNEFは、世界の公共充電器設置台数が2023年の約400万基から2025年には800万基以上に増加すると予測。これにより、航続距離不安が緩和され、EV需要がさらに拡大する。
また、バッテリー価格は2023年に1キロワット時あたり約139ドルだったが、2025年には100ドルを下回る可能性がある。これは、EVの価格をガソリン車と同等かそれ以下にする重要な要素だ。
自動車メーカーの対応迫られる
この急速なEVシフトは、自動車メーカーに戦略の見直しを迫っている。トヨタ自動車は、ハイブリッド車(HV)や水素燃料電池車(FCV)にも注力しているが、EV専業のテスラや中国の比亜迪(BYD)が販売台数を伸ばす中、EVラインアップの拡充を加速している。フォルクスワーゲンやGMは、EVへの大規模投資を表明している。
一方で、BNEFはガソリン車の完全な消滅にはまだ時間がかかると警告する。特に、新興国では充電インフラの整備が遅れており、内燃機関車の需要が残るとみられる。しかし、先進国でのEV普及が加速すれば、世界全体の販売構成は大きく変わるだろう。
石油需要への影響
EVシフトは、石油需要にも大きな影響を与える。国際エネルギー機関(IEA)は、EVの普及により、2030年には世界の石油需要が日量500万バレル削減されると試算。これは、現在の産油国にとって大きな脅威となる。
BNEFのマッケラッチャー氏は「2025年のEV販売逆転は、単なるマイルストーンではなく、エネルギー転換の象徴的な出来事だ。自動車産業だけでなく、エネルギー業界全体が変革を迫られる」と述べている。



