世界の電気自動車(EV)市場は、かつての急成長から減速局面に入った。しかし、その一方で中国のEVメーカーが低価格を武器に攻勢を強めており、日本を含む既存の自動車メーカーは厳しい競争にさらされている。東洋経済の記事によると、2024年の世界のEV販売台数は前年比で約20%増の見込みだが、2023年の35%増から伸び率は鈍化する。
減速するEV市場の実態
欧州では補助金縮小や充電インフラ不足が影響し、EV需要が伸び悩んでいる。ドイツでは2023年末にEV購入補助金が打ち切られ、2024年上半期のEV販売は前年同期比で16%減少した。また、米国でも高金利が消費者の購買意欲をそぎ、テスラの販売台数は2024年1-3月期に前年同期比で8.5%減少した。こうした状況を受け、フォルクスワーゲンやメルセデス・ベンツなど欧州大手はEV戦略の見直しを迫られている。
中国勢の台頭と低価格攻勢
一方、中国のEVメーカーは積極的な値下げと新モデル投入で市場シェアを拡大している。比亜迪(BYD)は2024年に「海鷗(シーガル)」という低価格EVを投入し、中国国内で販売価格を100万円以下に設定。これにより、2024年上半期のBYDの世界販売台数は約160万台に達し、前年同期比で約28%増加した。また、上海汽車や蔚来汽車(NIO)も追随し、中国EVメーカーの世界販売シェアは2023年の約50%から2024年には約55%に上昇する見込みだ。
日本メーカーの苦境
日本メーカーはEV競争で遅れをとっている。トヨタは2024年度のEV販売目標を約20万台と当初計画の約38万台から下方修正した。日産自動車も2024年1-3月期のEV販売台数が約3万4000台と前年同期比で約30%減少した。専門家は「日本メーカーはハイブリッド車(HV)で収益を上げているが、EVへの移行が遅れれば、長期的には市場シェアを失うリスクがある」と指摘する。
今後の展望と戦略
こうした中、日本メーカーは中国市場での巻き返しを図るため、現地生産の拡大や中国企業との提携を模索している。ホンダは中国のEVメーカーである東風汽車と提携し、2024年内に新型EVを投入する計画だ。また、トヨタは中国の比亜迪(BYD)からバッテリー供給を受けることで合意している。しかし、価格競争が激化する中で、日本メーカーが競争力を維持できるかは不透明だ。世界のEV市場は今後も成長が見込まれるが、その主導権は中国勢に移りつつある。



