テスラCEOのイーロン・マスク氏が、日本の電気自動車(EV)普及の遅れについて、充電インフラの整備不足が主な要因であると警鐘を鳴らした。マスク氏は自身のX(旧Twitter)で、「日本は充電インフラが不十分で、EV普及が進んでいない。もっと多くの充電器が必要だ」と投稿。日本のEV普及率が低い理由として、充電設備の少なさを挙げた。
日本のEV普及率はわずか2%未満
日本自動車販売協会連合会のデータによると、2025年の新車販売に占めるEVの割合は約1.7%と、欧州(約20%)や中国(約25%)に大きく水をあけられている。日本政府は2021年に策定した「グリーン成長戦略」で、2035年までに新車販売を全て電動車(EV、HV、PHEV、FCV)とする目標を掲げているが、EV単体の普及は遅れている。
充電インフラの整備状況も課題だ。経済産業省の調査によると、2025年時点で日本の公共用充電器は約3万基。これは欧州の約50万基、中国の約120万基と比較して著しく少ない。マスク氏は「日本はテスラのスーパーチャージャー網も限定的で、他の充電ネットワークも同様だ」と指摘。充電器の絶対数不足がEV購入の障壁になっていると分析した。
自動車メーカーの戦略も影響
日本の自動車メーカーは、ハイブリッド車(HV)に注力してきた経緯がある。トヨタ自動車は2025年時点でEVの販売比率が1%未満と低く、HVのラインアップを拡充。一方、日産自動車はリーフなどEVを投入しているが、販売台数は伸び悩んでいる。マスク氏は「日本の自動車メーカーはEVへの移行に消極的だ。世界のトレンドに乗り遅れている」と批判した。
テスラは日本市場で2025年の販売台数が約2万台と、前年比10%増となったものの、市場シェアは0.3%程度に留まる。マスク氏は「日本は技術力の高い国だが、EVシフトで後れを取れば、自動車産業の競争力が低下する恐れがある」と警告した。
政府の補助金政策にも課題
日本政府はEV購入に対する補助金を最大85万円(2025年度)と手厚く設定しているが、申請手続きの煩雑さや充電インフラ整備の遅れが普及の足かせとなっている。経済産業省幹部は「充電インフラの整備は自治体や民間事業者との連携が必要で、時間がかかる。2026年度までに公共用充電器を5万基に増やす計画だが、目標達成は容易ではない」と語った。
また、マスク氏は「日本政府はもっと積極的に充電インフラに投資すべきだ。中国や欧州のように、強力な政策支援が必要」と提言。テスラは日本でもスーパーチャージャー網の拡大を進めており、2026年までに50カ所増設する計画を発表しているが、それでも欧米に比べて規模は小さい。
今後の見通し
専門家は、日本のEV普及には充電インフラの整備に加え、自動車メーカーの戦略転換が不可欠と指摘する。東京大学の山田教授(エネルギー政策)は「日本はHVで世界をリードしてきたが、EVシフトが加速する中で、充電インフラ投資とメーカーのEV開発強化が急務。2035年目標達成には、年間のEV販売台数を現在の約5倍に引き上げる必要がある」と分析する。
マスク氏の警告は、日本の自動車産業に一石を投じている。今後の政策や企業戦略の変化が注目される。



