電気自動車(EV)の普及に伴い、車載用バッテリー市場で中国勢の存在感が急拡大している。2023年の世界市場シェア(出荷ベース)で、中国の寧徳時代新能源科技(CATL)が約37%で首位、比亜迪(BYD)が約16%で2位と、両社で過半を占めた。日本勢はパナソニックホールディングスが約8%で4位にとどまり、中国勢の独走が鮮明だ。
中国勢が市場を席巻する背景
中国勢の強みは、圧倒的な生産量とコスト競争力にある。CATLは2023年の生産能力が約500GWhに達し、世界最大のバッテリーメーカーに成長。BYDは自社でEVを生産し、バッテリーも内製することでコストを抑えている。さらに中国政府のEV普及政策や補助金も追い風となった。
韓国勢はLGエナジーソリューションが約14%で3位、SKオンが約5%で5位、サムスンSDIが約5%で6位と健闘。日本勢はパナソニックがテスラ向けに強みを持つが、それ以外のメーカーは苦戦している。
技術革新で差を広げる中国
中国勢はリン酸鉄リチウム(LFP)電池で先行。CATLは2023年に「神行電池」と呼ばれる超高速充電可能なLFP電池を発表し、航続距離700km以上を実現。BYDも「ブレードバッテリー」で安全性とエネルギー密度を両立させている。
「中国バッテリーメーカーは技術面でも世界をリードしている。今後もその地位は揺るがないだろう」と、業界アナリストの田中氏は指摘する。
日本勢の巻き返しは可能か
日本勢は全固体電池など次世代技術で差別化を図る。トヨタ自動車は2027〜2028年の実用化を目指し、パナソニックも開発を加速。しかし、量産化にはまだ時間がかかり、中国勢の先行を許している。
経済産業省は2023年に「蓄電池産業戦略」を策定し、国内生産能力を2030年までに150GWhに引き上げる目標を掲げる。だが、中国勢の生産能力拡大ペースには追いついておらず、巻き返しは容易ではない。
今後の市場展望
調査会社のデータによると、世界のEVバッテリー市場は2030年までに年間需要が3000GWhを超える見込み。中国勢はその中でシェアをさらに拡大する可能性が高い。一方、欧米では中国依存を懸念し、バッテリーの地産地消を促進する動きも出ている。
「中国製バッテリーの優位は当面続くが、地政学的リスクやサプライチェーンの多様化が進めば、日本勢にもチャンスがある」と専門家は語る。



