電気自動車(EV)への急速なシフトが、自動車部品業界の勢力図を塗り替えている。かつて日本メーカーが君臨した分野で、中国企業の台頭が顕著だ。東洋経済の分析によると、2023年の世界のEV用部品市場で中国企業のシェアは約40%に達し、5年前の20%から倍増した。一方、日本メーカーのシェアは30%から25%に低下している。
中国部品メーカーの急成長
特にバッテリー分野では、中国のCATL(寧徳時代新能源科技)が世界シェア約37%でトップを独走。比亜迪(BYD)も自社生産を拡大し、日本メーカーのパナソニックはシェア10%程度に留まる。モーターやインバーターなどの駆動系部品でも、中国企業の品質向上と低コスト攻勢が目立つ。
「10年前には考えられなかった品質レベル。日本メーカーの優位性はもはや過去のものだ」と、自動車部品業界のアナリストは指摘する。中国メーカーは政府の補助金と巨大な国内市場を背景に、研究開発投資を積極化。2022年の中国のEV販売台数は約688万台と、世界全体の約60%を占める。
日本メーカーの苦境
日本メーカーの競争力低下は、円安による輸出競争力の向上を帳消しにする勢いだ。デンソーやアイシンなど主要部品メーカーは、EV向け部品の収益性改善に苦戦。2023年度の営業利益率は、デンソーが約5%、アイシンが約4%と、中国の競合と比べて低水準にある。
さらに、中国市場での日本メーカーの存在感も薄れている。2023年の中国における日本車メーカーの販売シェアは約15%で、ピーク時の20%超から低下。ガソリン車からEVへの移行が進む中、日本メーカーの部品供給網が縮小するリスクが高まっている。
脱中国依存の課題
こうした状況を受け、日本政府と自動車業界はサプライチェーンの多元化を模索。経済産業省は2023年、重要鉱物の安定確保に向け、最大約2100億円の補助金を計上。また、トヨタ自動車などは、北米や東南アジアでの部品調達を強化している。
しかし、完全な脱中国は容易ではない。バッテリーに使われるリチウムやコバルトの精製工程では、中国が世界シェアの60%以上を占める。レアアース磁石でも同様だ。「中国依存を減らすには、技術革新と国際協調が不可欠」と、専門家は語る。
今後の展望
日本メーカーが生き残るには、EV部品の高付加価値化や新技術の開発が急務となる。例えば、全固体電池や次世代パワー半導体など、日本が強みを持つ分野での差別化が鍵だ。また、自動運転技術などソフトウェア分野での中国との連携も視野に入れる必要がある。
一方、中国メーカーは国内需要の飽和を見据え、海外展開を加速。BYDは2023年に日本市場に参入し、タイや欧州でも工場建設を進めている。日本メーカーは、地政学的リスクを踏まえた戦略的なサプライチェーン構築が迫られている。



