トヨタ自動車のオウンドメディア『トヨタイムズ』をけん引する元キー局アナウンサーの富川悠太氏と森田京之介氏が、マスメディアと企業発オウンドメディアの違いについて語った。両氏は、再生数よりも「100万回再生」よりも「1万回再生100いいね」の方が価値があるとの考えを示した。
『広報』の定義の違い
正社員で広報部に所属する森田氏と、嘱託社員で1年契約の富川氏では、『広報』のとらえ方が異なる。富川氏は「僕は、ニュースとビジネスを担当しているので、その話になるんですけど、『広報』をしてるつもりは一切ありません。僕はメディア出身者として、ジャーナリストとして取材して、もしトヨタにマイナスであることがあっても伝えます」と語る。豊田章男会長も「好きにやっていい。それがリアルだから」と理解しているという。
森田氏は「僕は、ちょっと違う部分があって。というのも、僕、所属部署が広報部なんです」と述べ、「企業が発信する情報を、広報がリリースとかいろいろな形にしてメディアに出して、メディアを通じて世の中に伝えるっていう流れがずっとあった」と説明。SNSの普及で個人でも発信できる時代になり、「企業広報と、オウンドメディアがうまく密接に絡み合っていくっていう形が大事なんじゃないかと思っていて」と語った。
内部から深く取材できる魅力
一般的なメディアとオウンドメディアの差について、富川氏は「テレビでずっと取材してきた立場から言うと、企業の取材ってどこまで独占で取材させていただいて、どこまで見られるか。といっても機密情報まで見られないじゃないですか。本当の意味での深掘りはできていないんですよね」と指摘。「トヨタの内部から取材するので、どんどん深く、真相まで取材できるっていうのは、今までと全然違いますし、僕としてはものすごい楽しいし、面白いですね」と語った。
森田氏も「(全部を取材して)その上で外に出せることを判断するっていうのと、取材対象に線を決められてだと(全部を)知らずにというのだと、伝えられることの精度はだいぶ変わりますね」と同意した。
再生数の“とらえ方”
YouTubeの再生数の“とらえ方”について、森田氏は「視聴率やどれだけ見てもらえるかにこだわると、取材対象はメジャーなもの、みんなが知ってるもの、になっていくんです。そうするとマイナースポーツ、パラスポーツに光当てることを『やらない』という選択になっちゃう」と述べ、「メジャースポーツで100万回再生とるよりも、パラスポーツで1万回再生してもらって100個いいねもらえた方が、100人に届いたことの方が価値があることなんじゃないかなと」と語った。
富川氏も「すごく思いますね。編集の仕方も全然違って」と述べ、「オウンドメディアなので、頑張ってるみんなに光を当てたいって考えると、それぞれのコメントをちゃんと取る。するとテレビみたいに見やすいようにとか、インパクトを与えるようにっていう編集をしないでも視聴回数はついてくるんだなって、逆に実感しています」と語った。
今後の課題は海外展開
今後の課題について、富川氏は「常にトヨタの生産の現場でも常に『カイゼン』『カイゼン』でやってきて、我々も、いろんな形を自分たちで試しながらどんどんやってみてる状態なので、毎回ずっと改善を続けてる感覚でやっています」と述べ、「グローバル企業なので、今後の課題は海外です。今1週間遅れぐらいに翻訳版も出してるんですけどあまりにも視聴回数が少ないんです」と明かした。その上で「もっと海外の人に知ってほしいとか、日本にいる外国人の人たちに見てほしいっていうのはありますね。やっぱり、知ってもらわなきゃ意味がないので」と語った。



