中国の電気自動車(EV)最大手である比亜迪(BYD)が、2024年の通期決算を発表した。売上高は前年比36%増の約7771億元(約1070億ドル)に達し、初めて1000億ドルの大台を突破した。これは、米テスラの2024年の売上高(約977億ドル)を上回るもので、世界のEV市場における勢力図が大きく変わる可能性を示唆している。
純利益も大幅増、過去最高を更新
BYDの2024年の純利益は前年比29%増の約402億5000万元(約4025億円)となり、こちらも過去最高を記録した。売上高の伸びを上回る利益率の改善がみられ、同社の収益構造が強化されていることがわかる。特に、高級車ブランド「仰望(ヤンワン)」や「方程豹(ファンチェンバオ)」の販売が好調で、車両単価の上昇に貢献した。
世界販売台数は427万台、EV単体でもテスラに迫る
2024年のBYDの世界販売台数(プラグインハイブリッド車含む)は前年比41%増の427万台に達した。このうち、EV(純電気自動車)は約176万台で、テスラの約179万台に迫る水準。BYDは2023年に初めてテスラを抜いて世界最大のEV販売会社となったが、2024年もその座を維持した。ただし、EV単体ではテスラがわずかに上回っており、2025年の逆転が注目される。
海外市場への拡大加速、日本でも存在感
BYDは中国国内市場に加え、海外展開を積極的に進めている。2024年の海外販売台数は約41万台と前年から倍増。東南アジア、欧州、南米などで販売網を拡大しており、特にタイやブラジルではEV市場でシェアトップを獲得した。日本市場においても、2023年から乗用車の販売を開始し、2024年には「ドルフィン」「アット3」など3モデルを投入。日本自動車販売協会連合会のデータによると、2024年の日本での新車登録台数は約2200台と前年比で約3倍に増加している。
研究開発費は過去最高、バッテリー技術で優位性
BYDは2024年の研究開発費に約542億元(約1兆1000億円)を投じ、過去最高を更新した。これは、売上高の約7%に相当する。同社は独自開発のブレードバッテリーやDM-i(スーパーハイブリッド)技術で競争力を強化しており、2025年には新型固体電池の搭載も計画していると報じられている。バッテリー内製化によるコスト競争力が、テスラや他のEVメーカーに対する大きなアドバンテージとなっている。
今後の課題:関税リスクと利益率の維持
一方で、BYDには課題も存在する。米国や欧州連合(EU)が中国製EVに対する関税を引き上げる動きを見せており、海外市場での価格競争力が低下するリスクがある。BYDはハンガリーやブラジルに工場を建設中で、現地生産による関税回避を目指している。また、中国国内ではEV市場の競争激化による値下げ競争が続いており、利益率の維持が経営課題となっている。2024年の営業利益率は8.2%と、前年から横ばいだが、さらなる改善が求められる。
BYDの王伝福(ワン・チュアンフー)会長は、「2025年は技術革新と海外展開をさらに加速させ、持続可能な成長を目指す」とコメントしている。同社の今後の動向が、世界の自動車産業に与える影響は大きい。



