中国のBYD(比亜迪)が日本で発売した軽自動車の電気自動車(軽EV)「ラッコ」を借り、首都圏を走行した。実際に走った距離は63kmで、メーターの走行可能距離の減りは53kmにとどまった。表示よりも長い距離を走れる可能性が示され、電欠を心配する声があるEVにとって安心材料となりそうだ。
横浜から幕張方面へ、高速道路中心のルートで試乗
試乗したのは最上級グレードの「300Premium」。ボディカラーは「ルビーレッド」を選んだ。横浜駅近くのBYD Auto Japanの事務所で車両を借り、首都高から東関東道を経由して幕張方面へ向かった。走行ルートのほとんどが高速道路で、設定した速度で同一車線を走行する「インテリジェント・クルーズコントロール」(ICC)の精度が高く、ペダル操作はほぼ不要だった。
出発時のメーターは充電残量97%、走行可能距離312km。目的地の千葉工業大学新習志野キャンパス付近に到着した際は、充電残量81%、走行可能距離259kmと表示された。オドメーターはスタート時1282km、到着時1345kmで、実際の走行距離は63km。走行可能距離の減少は53km、バッテリー残量の減少は16%だった。
実際の走行距離(63km)がメーター上の走行可能距離の減少(53km)を上回ったのは、高速道路中心のルートでICCを使った「エコ走行」ができたためとみられる。走行可能距離は直近の走り方を参考に算出されるため、出発時点で電費の悪い走りを前提とした予測値だった可能性もある。メーター表示よりも長い距離を走れる結果は、EVの信頼感につながる。
軽EVの走行性能、通勤や買い物に十分な航続距離
横浜から習志野まで走っても電池の減りが10数%にとどまったことから、日々の通勤や買い物には問題なく使えるとみられる。乗り方にもよるが、週に1度程度自宅で普通充電できる人なら、便利に使えるだろう。
軽自動車は高速道路の合流や加速、坂道でエンジン音が大きくなり、速度が上がりにくい場面がある。一方、軽EVは加速が力強く、エンジン音もないため、スムーズに走り出せる。坂道でも苦しさを感じさせない。日産自動車「サクラ」や三菱自動車工業「eKクロスEV」、ホンダ「N-ONE e:」でも同様の特性があり、ラッコもそうしたクルマだった。
日本の軽自動車市場で最も売れている「スーパーハイトワゴン」で選べるEVは、現時点ではラッコだけだ。2028年にはホンダ「N-BOX」のEVが登場するとの情報もある。ラッコは快適かつ便利な軽自動車であり、軽スーパーハイトワゴンのユーザーで次のクルマを探している人にとって、検討する価値のある1台だ。



