EVシフト加速で自動車部品大手が新興国生産を拡大、競争激化
EVシフトで部品大手が新興国生産拡大、競争激化

電気自動車(EV)への移行が加速する中、日本の自動車部品大手各社が新興国での生産拡大に乗り出している。特に東南アジアとインドでは、工場の新設や既存設備の増強が相次いでおり、コスト競争力の強化と安定した供給網の確保を目指す動きが活発化している。

デンソー、インドでEV部品生産を倍増

部品大手のデンソーは、インド南部の工場でEV向けインバーターやモーターの生産能力を2025年までに現在の2倍に引き上げる計画を発表した。同社はインド政府のEV普及政策「FAME II」による需要拡大を見込み、総投資額は約500億円に達する見通し。デンソーのインド法人トップは「インドは今後5年で世界第3位のEV市場になると予測している」と述べている。

アイシン、タイでEV用トランスミッション生産開始

アイシンはタイ中部の工業団地に新工場を建設し、EV用のトランスミッション(減速機)の生産を2024年から開始した。投資額は約300億円で、年産能力は50万基。同社は「タイはASEAN最大の自動車生産拠点であり、EVシフトに対応するため早期の生産開始が必要だった」と説明する。タイ政府は2030年までに新車販売の30%をEVにする目標を掲げており、部品メーカーの進出を後押ししている。

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住友電工、ベトナムでEV用ワイヤーハーネス工場を増設

住友電気工業はベトナム中部の工場にEV向けワイヤーハーネスの生産ラインを増設し、2025年までに生産能力を現在の1.5倍に引き上げる。投資額は約200億円。同社の担当者は「EVでは高電圧対応のワイヤーハーネス需要が急増しており、低コストで高品質な製品を供給するため、ベトナムでの増産が不可欠だ」と語る。ベトナムは中国やタイに比べて人件費が低く、日系部品メーカーの生産拠点として重要性が増している。

競争激化とリスクも

新興国での生産拡大は、部品メーカーにとってコスト競争力の向上につながる一方、地政学リスクや為替変動の影響を受けやすいという課題もある。特に東南アジアでは中国企業の進出も活発で、価格競争が激化している。ある業界アナリストは「日本の部品メーカーは品質と技術力で優位性を持つが、価格面では中国勢に押される場面も出てきている。新興国での生産効率化と現地企業との連携が鍵になる」と指摘する。

政府の支援も追い風

日本政府は経済安全保障の観点から、重要物資のサプライチェーン強靭化に向けて、新興国での生産拠点拡大を支援する補助金制度を設けている。自動車部品もその対象であり、各社の投資を後押ししている。経済産業省の担当者は「EV関連部品の安定供給は日本の自動車産業の競争力維持に不可欠であり、官民連携で取り組む」と述べた。

新興国での生産拡大は、EVシフトに対応する部品メーカーの生き残り戦略として今後も加速するとみられる。各社は品質とコストのバランスを取りながら、現地市場の開拓とグローバルな供給網の構築を進めていく方針だ。

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