OpenAIは2026年7月27日(現地時間)、生成AIサービス「ChatGPT」の米国ユーザー80万件超のメッセージを分析したレポート「フロンティアの仕事:AIが広げる人々の仕事」(注1)を公開した。このレポートでは、AIを利用することで、従来あった職種に結び付いていた仕事を、別の職種の人が実施することが確認されている。同社はこれを「タスクの移行」と呼ぶ。
タスクの移行はどの職種、どのタスクで起きているのか
仕事で利用されたメッセージのうち、61.5%は職種を問わない共通・汎用のタスクで、残る38.5%が非汎用のタスクだった。非汎用のうち56.5%はユーザーの職種内かその周辺に収まり、43.5%が職種外(移行)に当たる。仕事関連のメッセージ全体では、16.8%が別の職種に関連するタスクを扱っていた。OpenAIは、この比率が職務記述書や役職名が変わる前の段階から仕事で担うタスクの変化を捉える手掛かりになるとみる。
移行の比率が特に高い職種として、OpenAIは次の5つを挙げた。数値は、汎用的な仕事を除いた職種固有のメッセージに占める「職種外タスク」の比率だ。
- カスタマーエクスペリエンス担当者:77%
- デザイナー:75%
- 人事担当者:69%
- 法務担当者:56%
- マーケティング担当者:53%
これらの職種では、本来は別の従業員が担っていたタスクを自ら取り入れる傾向が見られる。小規模事業者は文書作成や契約書確認、基本的な財務分析を自身で実施するようになり、営業担当者はアナリストを介さずに顧客データセットを分析するようになった。マーケティング担当者は、開発者の対応を待たずにWebサイトのトラブルを自身で解決している。
職種別に見たタスクの移行の広がり
タスク単位で見ると、移行の広がりにはばらつきがある。「財務計算」と「技術的なトラブルシューティング」は調査対象となった他の7職種グループ全てで職種外タスクの上位3位に入った。マーケティング業務も広く分散しており、「マーケティング資料の作成」は他の5グループで確認された。特にデザイン分野のユーザーでこの傾向は顕著だ。
移行の「方向」にも職種ごとに違いがある。デザインは「他職種のタスクを取り入れる側」に当たり、デザイナーによるメッセージの約35.2%には通常なら他職種に関連する仕事が含まれる。一方で、他分野の担当者によるメッセージのうちデザインタスクが占める比率は1.7%にとどまる。
エンジニアリングは対照的な傾向を示した。エンジニアリング分野のメッセージで他分野のタスクを含むものは18.5%にとどまる一方、他職種の担当者によるメッセージではエンジニアリングのタスクが7.4%を占める。ソフトウェアのトラブルシューティングから技術システムの運用まで、エンジニアリングは他分野の人々が担うタスクを生み出している分野といえる。
マーケティングは、「他職種のタスクを取り入れる」方向と「自らのタスクが他職種へ広がる」方向の両方向で数値が高い。マーケティング担当者はメッセージの24.3%を他職種関連のタスクに費やしている一方で、他分野の担当者によるメッセージの8.9%をマーケティングのタスクが占めており、この広がりは分析対象の中で最も高い。マーケティング担当者が複数分野の業務を担当すると同時に、マーケティング業務自体も組織全体へ広く浸透している様子がうかがえる。
AIが仕事をリアルタイムでどう変えているか
今回のレポートは、AIが仕事をリアルタイムでどう変えているかを探る新シリーズ「フロンティアの仕事」の第1弾だ。以前なら他の従業員に引き継ぐ必要があった活動も、「今ではその必要性に最初に気付いた人が実行できるようになった」と、OpenAIは指摘する。



